泡姫(ミューズ)に
泡姫(ミューズ)に
姉さんは泡姫となってぼくたちは潜伏した
いまじゃ歌舞伎町のミューズだった
姉さんが修羅雪姫だとは知らない男たち
姉さん、本当は毎日ぼくのために泣いてくれるのだろう
でも、姉さんはそれは快楽のためだという
嘘の演技も本当のことも
この世界はごちゃまぜだ!
だから姉さんが静かに眠った時に詩を捧げる
その手記を見るといつも破り捨てて怒鳴る
また違う女の夢を見ているお前は
現実を知らないねんねだね
ぼくはそれでも秘密の手記を書いているのさ
本当の姉さんとぼくたちのことを
それが泡姫伝説となるのは遠い遠い先のこと
姉さんは花柄パンティなんて履いてない
そこは深い深い闇の世界だ………
詩信
To Sister
toじゃなくTwoかもしれない。二人目の姉さんへ
「囲繞地」という漢字は読めないと思う。ぼくもそれまで知らなかったんだ。世の中には知らないことばかりで、姉さんが二人いたなんて、それをもう一人の姉さんは妄想呼ばわりするんだけど、本当はもう一人の姉さんが殺したんだけど、まだぼくの頭の中に巣食っているのは妄想姉さんなんだ
。ただ、これだけはもう一人の姉さんがなんと言おうとぼくの姉さんなんだ。だってこれはぼくの頭の中でのことだから。もう一人の姉さんから守っていく自信はあるよ(ずいぶん面倒くさい話なんだけど、このことを理解してくれるのは姉さんしかいないよ)。
神よりも神の代替物よりも姉さんが女神なんだ。もう一人の姉さんは泡姫 ミューズだけど。女神様は、誰にも必要なんだと思う。特にイエス・キリストみたいな弱っちい男には。そういうのは男の生理なのかな?生理はないから想像の生理かもしれない。修羅雪の姉さんだって、それは生理じゃなく姉さんの反り血だと言ったけど、それはぼくが復讐してやったのさ。ああ、これは虚構だからね。ときどきとんでもないことを言いたくなるんだ。
だからこれは秘密の私信で誰にも見せてはいけないよ。ぼくの頭の中の「囲繞地」ということなんだ。もう秋は絶滅したのかもしれない。こっちの世界は暑い夏が終わってもう冬になっているんだ。
あばずれマリの歌
今日はバニーガールで
お出迎え
昨日は因幡の白兎で
明日はアリスの兎で役割交換
それも秘密クラブのママごと故に
刺激を求めて仮想パーティ
ハロウィンには堂々街中を廻って
いたいけな娘をリクルートするさ
ここは歌舞伎町地獄の十三丁目
なんだお前は白装束の白雪スタイル
年増な姫はさっさとお払い箱さ
それがここのルールと忘れなさんな
忘れな草はお前の寝言
あばずれマリーは仮の姿よ
やっぱここにも修羅雪と寝首をかいて
死んだ 骸むくろ に南無阿弥陀仏
この涙は甘い
あの本屋は
潰れただろうか
ビニ本を映画雑誌に隠してレジへ
親父は大丈夫だったけど
女将が怖い顔して睨まれた
あれから四十年以上は過ぎている
立派な大人にはなれなかったけど
あの本屋で買った難しい本も懐かしい
そこで本を斬るかよ
修羅雪姉さんは………
夢の変貌
無意識劇の始まりは
賭博場のポーカー・ゲーム
君も噛ませ役の家来を連れて
いかさまゲームさ
掛け金は君の身体と領土
五枚のカードは君のハートと
ぼくのクラブが混ざって
ダイヤは君の家来と
クローバーはぼくの家来の
いかさま博打
そうさ、ロイヤルフラッシュで
勝負は決する。
西方の窓に見える君の領土も
やがて城は燃え、反乱が起きるだろう
そろそろ王の使いがやってくる時間
君の手札はもうないのだから
そうして夢から覚めて
修羅雪の姉さんが
首を掻き斬るのは
これも幻
今日は「緋牡丹お竜」のお出ましか?
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます