第5話 騎士の誓い1

 戦争が終わったのは半年前のこと。終わるきっかけを作った功績が認められ、ヴィクトルは同期の従騎士の中で一番に騎士に叙任されることになった。


 ヴィクトルはノアが手助けしてくれたからと謙遜するが、一対一で馬上勝負になれば、小柄なノアは力負けする。相手の懐に潜る戦法は馬上では通用しないからだ。

 唯一無二の存在を聞かれたら、ノアもヴィクトルも迷わずにお互いの名前を挙げるだろう。そのくらいに大切な相手とこれからも共に人生を歩んでいけることを、ノアはどれほど神に感謝しただろう。


 ただ、時々戦友や親友だと思うには熱すぎるほどの憧れと称賛を抱き、常に一緒にいたいと思うあまりに、ヴィクトルに色目を使う準騎士がいると無性に腹が立つのを抑えられず、わざと会話に割り込んでしまう自分を持て余していた。


 この思いは友情か? まさか禁忌の思いではないのか。

 誰もが一目を置くようになった騎士ヴィクトルから、注がれる信頼や友情を汚してしまいそうで、ノアはヴィクトルを避けるようになった。


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