第2話 恋崖の今
はっきりいうと落胆しました。
かなり期待していた世界の今後が闇に閉ざされたからです。未来の無いものに興味はありませんので、私は生きる希望つまり生きがいのようなものが無くなってしまいました。
文明を復興するのには長い時間と労力がかかります死体操魔法は万能では無く単純な命令しかこなせない魔法なのです。それでも戦争では死者が多く出るので重宝されました。
メアリーどうしよう? メアリーと共に城内を歩くと医務室につきましたいいですねこの腐った臭い
「フラン?」
吃驚して振り返ると女性が立っていました。私は見覚えがあります。もしかして恐らくヴィクトリア?
「うん...本当にフランなんだ...い、生きてる?」
はい私は死んでますが生きてます。あ、ヴィクトリアを知らない人のために説明しますヴィクトリアは
「私から説明するよ...。私の名前はヴィクトリア。
元医師として戦争の時働いていた。フランの友達」
驚きましたてっきり死んだと思っていましたが、それになぜ無傷なのですか?
「私は回復魔法を持っているから...。核が落ちてきた時、魔力をほぼ失う代償に即死する程の傷を治す回復魔法を出せたの」
なるほど流石ですね。この城には他に誰かいますか?
「いいや、私だけ」
そうですか改めて落胆しました。しかしヴィクトリアが生きていて私は嬉しいです。紹介しますこの子はメアリーです。メアリーこの子はヴィクトリアです。そういえばヴィクトリア元気がないですね。
「うん、もうすぐ私は死ぬから」
なぜですか?
「今私は微量の回復魔法で命を保っている。でももうすぐ切れる。ポーションの材料の薬草は無いし、どうしようもないね」
そうですか、そうなんですね、そうだったんですね
「最後に貴方に会えてよかった...。ごめん、どこかに座らない?」
そうですね座りましょう。隣部屋に国議会用のテーブルがあります。
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「はあ...。見た目はかなり変わったのに、中身は何も変わってないね」
そうですか? 私は私のことがよく分かりませんが貴方は私をよく知っていますね。
「フランは自分含めて何も興味がないもんね...。
戦争が始まった時も何も変わらなかったよね。皆大慌てだったのに」
あの時は忙しかったです。でも給料が増えたので不満はありませんでした。
「...ふふ。今となっては懐かしいね」
そうですね昨日のことのようです貴方は大変そうでした。医師の仕事は大変でしたか?
「まあそりゃあね...。毎日毎日患者が運び込まれて猫の手も借りたいくらいだったよ」
そういえば医師の死体も操った記憶があります。しかし複雑な回復魔法を使わせることはできませんでした。
「フランは死霊術師向きの性格だと思う。毎日死者に向き合うのは楽なことじゃないから」
そうですか? 私は毎日食卓で死者と向き合っています。そこまで嫌なことではありません。
「そうか...。フランは腐乱死体の前で熟睡できる人だったね」
そうですねそういえば
...大丈夫ですか?
「もうすぐみたい...」
まあ仕方ないですね普通は死んでしまうのが普通ですから。
「うん......。もっと一緒にいたかったけど」
ヴィクトリア。私はあなたが死ぬのがとても寂しいです。もう少し話していたかったです。
「...............」
驚きました死人も涙を流すのですね。
それはそうとヴィクトリアのお別れ会をします。
ここにいる死体達よ! 席につき鎮魂歌を歌いなさい。
ふーむ、中々綺麗な声ですねヴィクトリアには劣りますが。ヴィクトリアは死後の扱いについて死体操魔法の使用を断っていたので操れませんね。
たまたま落ちていた頭蓋骨に死体の血を入れて飲み干すとやはり美味しいヴィクトリアにも飲んでほしかったのですが仕方ないですね。
ヴィクトリアは死体となっても本当に美しいですね
次回は最後の話となります。果たして私は腐敗城を操れるのでしょうか。
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