第39話 似た者
レイは週に1回セレジアと会う約束をし、今日が4回目であった。
3回目の際、レイが怒りの感情を取り戻すと共に体調を崩し、その日はそのまま解散となった。
その翌日、カフェでセレジアが悪夢にうなされてるところにレイが遭遇し、さらに2人は利用し合うということでさらに強固な関係となった。
カラマタに戻り、レイとオウロを中心にクエストを数多く達成したことにより、ギルドランクがBに上がった。
後日、アテネより正式な表彰がされると通達もあり、カラマタは盛り上がっていた。
そして今日、レイはセレジアといつもとは違う店で出会った。
「レイ、こっちよ。」
「ああ、セレジア、さん。」
レイは人前でセレジアと呼び捨てにしないように注意していた。
理由は簡単、セレジアは王族なため呼び捨てにできる存在は基本的にいないためだ。
「料理は頼んでおいたから。」
「ありがとう、ここも美味しそうな匂いがたくさんするな、よくいろんな店知ってるな。」
「もちろん、王族の務めよ。」
「王族?健啖家なだけじゃ─。」
「凍り付けにするわよ?」
セレジアは綺麗な顔立ちであり、目がとても大きいため、睨んだ顔はより迫力がありレイは、
「その言葉無敵すぎるだろ。」
「余計なことを言うあなたが悪い。」
「余計なこと、なのか。会話って難しいな。」
「感情が全て戻ったら、もっと楽になるんじゃないかしら?」
「そういうものか?まあ、セレジア、さんが協力してくれるならそんなに時間かからない気もするな。そうだ、何か情報があったって言ってたよな?」
レイはセレジアにとある情報があると言われていた。
「そうね、パトラって町を知ってるかしら?」
「いや、初耳だ。近いのか?」
「カラマタからなら、2時間くらい馬車で着くと思うわ。アテネほどではないけど、かなり繁栄している町だわ。」
「へぇ、そこで何かあったのか?」
「騎士団が遠征に行った時に、レイとも違う特殊な戦い方をするギルドメンバーの噂を手に入れてきたの。」
騎士団が手にした情報は、
パトラに新入りのギルドメンバーが約2ヶ月前に現れ、その戦士のおかげで近くの治安が安定したという。
さらに、その特殊な戦い方のおかげで町に攻め寄せる盗賊なども減ったと報告を受けていた。
「まだ私も特殊な戦い方について調べられてないの。ただ、あなたと同じく情報がない流派だったらもしかしたらレイの方が適してるかもと思って。」
「それで、俺がパトラに行ってその戦士の情報を調べてセレジアに共有すればいいってことか?」
「ええ、あなたにもカラマタの事情があるだろうから、時間ある時でいいわ。あなたの記憶を取り戻すきっかけにもなる気がするの。」
「確かに、セレジア、さんの言う通りかもな。」
無理矢理、さん付けでレイが話すのをセレジアは微笑んで見つめていた。
「偉いわね、さん付けで呼ぶのを徹底してて。」
「なあ、たまにはそっちの家でもいいんじゃないか?2人ともキャラを作る必要がなくなるぞ?」
「……そうしたいのだけど、少し訳があってね。」
「……そうか、分かった。じゃあ、俺はパトラに行く準備を進めるよ。」
「……聞かないのね、何で行けないのか。」
食事が届けられ、レイは目の前の料理を見つめながら、
「聞いて欲しくないんだろ、そんな顔をしてる。」
「……あなたに気を遣われてるって思うと、なんか複雑だわ。」
「素直にありがとうって言えば、もう少し可愛げが出るんじゃ─。」
「嫌いなあなたに言うわけないでしょ、いただきます。」
「難しいな、セレジア、さんは。いただきます。」
2人は食事をすすめ、レイはカラマタに戻った。
カラマタのギルドに向かうと、
「おおっ、戻ったかレイ!」
「ああ、何か緊急のクエストは入ってないか?」
「いや、特にないがどうしたんだ?」
「パトラって町知ってるよな?あそこで、俺と同じかそれに似た流派を使う奴が目撃されたらしいんだ。ちょっと見に行って来たいんだが、いいか?」
「おう!カラマタは俺に任せろ!オウロは誘ってるのか?」
「いや、これからだ。」
レイはギルドを後にし、宿舎に向かう。
オウロの部屋に向かうと、
「ん?不在って札が出てるな、いないのか。」
レイはオウロがいないことを確認し外に出ると、
「あ!レイさん!」
「おっ、エリ、オウロ知ってるか?」
「オウロさんですか?確か所用で出てくるって話されてた気がします、何か御用でしたか?」
「いや、パトラに行こうと思ったから同行してもらおうと思ったんだ。俺1人で行くしかないな。」
「私もご一緒したいんですが、流石に受付を開けるのは厳しいので残念です……。お気をつけて!」
「ああ、ありがとうエリ。」
レイはカラマタに来た馬車に乗り、初めて訪れるパトラへと向かう。
馬車で2時間ほどで辿り着けるパトラ、アテネまでの道同様人の進む道が整備されており、危険なモンスターが現れない安全な地域。
馬車に揺られながら、レイは外を眺める。
緑一面の草原が広がり、優しい風が髪を揺らす。
(そういや、カラマタから向かう場所に1人で行くのは初めてだな。ペレに着いた時は、俺は気を失ってたから覚えていない。なんか、楽しみだな。)
馬車に乗りながら、レイはとある気配を感じた。
(んっ?俺を見てる奴がいる?誰だ?)
気配を探していると、馬車が急に止まり、
「お客さん、大丈夫かい?」
「は、はい、すみません。」
馬車から外を見るレイの目には、
「ん?女の、人?」
「……見つけました。」
彼女が発した言葉の意味とは。
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