第243話 対話

「急報!急報!アカツキ様!」

「何事だ?」

「ムクナ様がご帰還されました、それと、4人を連れて。」

「4人?騎士団のものじゃないのか?」

「いえ、それが全く別の人間です。拝謁を願い出ております、如何致しますか?」


 アカツキが待つ大きな広間に、騎士が報告をしにきた。


 これまでにアカツキはムクナによって何度も命を救われており、信頼を置くだけの関係を築いていた。


「構わない、通せ。」

「御意。」


 騎士が下がり、一分も経過しないうちに、


「失礼します、アカツキ様。ムクナ・ベゴニア帰還しました。」

「お疲れ様、ムクナ。先ほど聞いたが、騎士ではない同行者がいるのか?」

「はい、アカツキ様にもご紹介したく思います。皆さん、お入りください。」


 ムクナの案内で、後ろから4人姿を表す。


「……君らは、ムクナが話していた。」

「はい、お久しぶりで御座います。アカツキ様、ムクナの弟子にして、ここ数ヶ月間姿を消しておりました、リン・ウラノスです。」

「その妹、アンジェ・ウラノスです。」

「おおっ!本当に生きて戻ってくれるとは、とても嬉しく思う。それと、奥の2人は?」


 セラとオウロが前に出て、


「お初にお目にかかります、イリオスが国王ベガの娘、セレジア・ウィル・レアと申します。」

「同じくイリオス出身、元騎士団にして、今はリンたちとともにギルドを組んでおります、オルデン・アトラスと申します。」


 2人の自己紹介で、アカツキを含めたその場にいる多くの騎士たちがどよめいた。


 その内容は、


(何でイリオスのやつがここにいるんだ?捕虜か?)

(それか、ムクナ様がお連れしたんだ、こちら側についた奴らとか?)

(そんなことあるわけないだろ!外の世界の奴らは、俺たちの敵だ!)

(そうだ!そうだ!早くここから排除しろ!)


 ざわつき出す広間。


 そこはアカツキが、


「静粛にしなさい、客人が来ているのだぞ。」

「ですがアカツキ様!そこの2人は、我々を襲撃している他世界の人間です!仲間の仇を取るチャンスなんです!」

「待ってくれ!この2人は確かにイリオスの人間だ!でも、俺たちに力を貸してくれる、大切な存在だ!」

「お前も騙されているんだ!ウラノス!我らはその言葉に乗せられ、何人の同士を殺されたか!」


 広間は一瞬にして殺伐とした空間と化す。


「アカツキ様!この者達は危険です!我々に処刑する許可を!」

「待ってください!話を聞いてください!ここで争っては、身喰らう旅団の思う壺です!」

「ここで我々が滅ぼされても同じことだ!散って行った者達の無念をここで晴らさねば─。」

「黙りなさい。」


 その場の空気を、アカツキが一言で変える。


「ウラノスの兄よ、あなたは確かイリオスに転移していたと聞いています。戻る方法が見つかったと認識してよろしいのですね?」

「はい、イリオスから戻る方法は分かりました。ただ、ワノモトからイリオスに行く方法はまだ分かりません。」

「ふむっ、ムクナから説明のあった通りですね、妾達に嘘をつくような人ではないようだ。だが、妾達も甚大や被害を受けております。少しだけ話しましょうか。」

「ありがとうございます、アカツキ様。」


 リンが前に出てアカツキと話す。


「まず問います、あなた方はこれから何をするつもりですか?」

「シンプルな回答です、ワノモトもイリオスも救います。それが、俺たちの目的です。」

「そこまでする理由は何ですか?リンはワノモトを、セレジアさんはイリオスを守りたい、それが利害の一致に繋がったとでも?」

「いいえ、どちらかが滅びることは、もう片方も滅ぼされ蒼き世界を身喰らう旅団に作らせてしまいます。そんなこと、させるつもりはありません。」

「なるほど、あなた方も身喰らう旅団の話す蒼い世界について聞かされていたのですね。それで、まず戻る方法は何か候補でもあるのですか?」

「ユグドラシルです、アカツキ様。」


 リンは城に来る途中に見た、ユグドラシルの変化について話した。


「今のユグドラシルは、どこからか力を吸い取られているように色も悪くなり調子も悪そうだ。その原因は身喰らう旅団の何か、そして二足歩行の化け物が増えてるのも関係してると予想してます。」

「皆さんは、あのオオカミの姿をした化け物と何ども戦われているのですか?」

「はい、数えきれないほどに。そして、あのオオカミ型の中には騎士団の人や、囚人が使われていることが大半だ。」

「っ!?なら、この国の騎士が途端にいなくなった時、それは使われているということですか。」

「可能性は大いにあると思います。」


 リンはじっとアカツキの目を見つめる。


 そして、



「アカツキ様、確かにワノモトの人間がイリオスの人間と手を組んで、化け物対峙をしているのか、疑問に思われるのはおかしくないと思います。ただ、その疑問を乗り越えて俺たちは俺たちの責務を全うします、それが俺たちにしかできないことだから!」

「……なるほど、あなたの意見も分かりました、ウラノス。他の方々も、同じ意見のようですね。なら、妾からも依頼をさせていただきます。」


 はたしてリンは、支援課ダーヴは国王であるアカツキから何を告げられるのか?

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