第189話 圧倒的な力

 リンの目の前には、Bともう1人黒服を着た男が立っていた。


 Bも気迫を辺りに放っているが、

 隣の男の方が、リンには恐怖を感じさせていた。


(この男、さっきまで気配すら感じさせなかった。正直、一般人の気配の方が高いとすら感じるレベルだぞ、俺の五感が認識できなかった。それに、師範の名前も知ってる、何者だ。)

「貴方様がここに来られたということは、他の町は。」

「もう終わっておる、ここに余計な輩が送られてると情報があったので来たまで。B、貴様は下がっていろ。」

「よ、よろしいのですか!?こいつは俺が─。」


 Bが慌てて話そうとした瞬間、

 黒服の男の睨みつけがBを足止めした。


「っ!?」

「我が下がっていろと言っているのだ、分かるか?」

「御意に。」


 Bは数歩下がり、黒服はリンの前に立つ。


 腰から抜くのは、刃渡り2m、幅1mほどの黒い大剣。


「ぬしが我らの未来を作る鍵となる存在、いや、鍵を持っている存在だな、リン・ウラノス。仲間殺しの死神と呼んだほうがいいか?」

「その呼び名を知ってるってことは、あんたワノモトに化け物が襲撃してきた時にいたんだな。なら、あんたもワノモトの人間か。」

「さあな、ぬしが我から聞き出してみれば良いだろ?」

「へぇ、随分冷静なんだな、ならやらせてもらうか!」


 2人が立っている場所から姿が消えた0.5秒後、空中でリンと黒服の男が鍔迫り合う。


「いい早さだ、伊達に流派を受け継いでいないということだな。」

「あんた、随分こっちの事情に詳しいな、十華一刀流トウカイットウリュウを過去にかじったか?」

「そんなもの我がやる必要がない。そうやって縛られ、自由をなくして生きてきたお前たちを解放してやろう、2つの世界を治めるとともに。」

「それじゃあお前がトップを務めるつもりか?イリオスと、ワノモトの。そうだとしたら、これだけ犠牲を出してることになんの疑問も抱かないのか!三の型、カイ向日葵ヒマワリ。」


 刀で弾き、続けて回転斬りを放ち黒服を数メートル弾く。


 しかし、


「強さは認めよう、だがまだ欲が足りぬな、お前の戦いには。」

「なんのことを話してやがる、そろそろバカな俺でも分かるように説明してくれないか、黒服!」


 リンは弾丸を超えるスピードで接近し、黒服に追い打ちをかける。



 次の瞬間、リンの前には黒服はいなかった。


「っ!?どこに行った─。」

「背中がお留守だぞ、ウラノス。」

「なっ!」


 リンは振り向くと同時に刀で大剣を防ぎ、捌ききれず吹き飛ばされ家の壁にぶつかる。


「えふっ、反射でなんとか防げたけど、何が起きた?目の前にいたはずなのに、一瞬で消えた、残像だったか?」

「いいや、お前が見たのは我の姿だぞ。」


 次黒服を捉えた時には、リンの目の前から追い打ちをかけてくる。


「くっ、一の型、華火ハナビ。」


 咄嗟に納刀し、斬り上げた一撃が大剣とぶつかり合う。


(今度は捉えた、このまま続けて次の型に─。)

「そんなぬるい力で、我を押し切れるとでも。」

「んな!?」


 さらに力を上げた黒服は、リンを弾き飛ばす。


 地面に砂埃を立てながら体勢を整えるリン。


 次の思考をする時には、目の前に黒服が迫り、防戦に徹するリン。


「ここまで我の攻撃を受け止めたのは、お前が初めてだ。もっと楽しめそうだな、ウラノス。」

「あんたも戦闘狂かよ、そろそろ名前を教えてくれないか。俺の名前だけ知ってるのは公平じゃないだろ?」

「ふんっ、もう少し楽しませてくれたら教えてやろう!」


 リンは刀で大剣を弾き、攻勢に出るが再び姿を消す黒服。


(この攻撃の仕方、これまでの二足歩行型の戦いと似てる気がする、まさかこいつ、これまでの実験台で得たデータを自分に集約してるってか?)

「思考してる暇など与えんぞ、ウラノス。」

「そうかよ!」


 千変万華センペンバンカを発動しているリンの動きは、これまでよりもスピードもパワーも上昇していた。


 しかし、謎の黒服にとっては大きな効果を発動しているようには見えない。


 リンは大剣を弾き、大きく距離を取る。


「はぁ、はぁ、この力を維持するのも後どれくらいできる。」

「そろそろ限界が来たか、ウラノス?」

「はっ、限界なんてそう簡単に迎えてたまるかよ。それと、あんたは忘れてないか。」

「ん?」


 黒服の背後から1人高速で接近する者が。


初式ショシキ雷光ライコウ。」


 鋭い拳が黒服の背後から迫る。

 黒服は高く飛び、避けた先にいるリンの元へ。


「よぉ、来てくれると思ってたぜ。」

「……すまない、自分勝手で都合のいい話なのは重々承知だけど、僕と共に戦ってはもらえないかい?」

「喜んでだぜ、オウロ!」


 そう、リンの元に駆けつけたのはオウロ本人であった。


「貴様、裏切るつもりか、我ら身喰らう旅団を。」

「裏切る、か。確かにそうなるかもしれませんね、僕はあなたを常に探し続けてた、もしかしたらここにいるかもしれないって思ったから。」

「我を知る者……そうか、忘れておった、アトラス家の生き残りだったな、お前は。」

「そうですよ、身喰らう旅団の団長。……いや、元古代騎士団団長、ブラッド団長!!あなたを倒して、僕は皆の仇を討たなくてはならない!」


 オウロは拳をぶつけ合い、

 辺りに大きな風を起こす。



 オウロは力を解放した、


「総集奥義、モード麒麟キリン!」


 さらに戦闘が激化していった。

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