第166話 鉄鋼の淑女の武器

 カグヤは、自分がミリアム家で学んだことを皆に伝えていた。


「あたしには、ミリアム家で長年教えられてきた基本ってものが染み付いてる。それが、武器が人を選ぶ、つまり、そいつにはそいつにしか扱えない、裏を返せば、100%以上の力を引き出すことができる武器が存在するんだ。」

「すごいな、100%以上の力を引き出せる適正武器があるってことか。そして、ミリアム家ならそれを作れる、だから、ミリアム家の武器を狙う奴らが現れたんだな。使い方も知らないやつも関係なしに。」

「そうだ。そして、あたし達の力だけを求めて数少ないミリアム家の人間を誘拐する人も現れた。あたしみたいに、戦う力を持った鍛治職人ばかりではないんだ。そして、リン達に助けてもらった時も、同じ状況だったんだ。」


 リンとオウロがカグヤの噂を聞き、当時廃村だったシオンに向かったときは、多くの盗賊が襲っていた。

 老夫婦を守ろうとしながら、盗賊と戦闘しているカグヤのところに2人が加勢に入ったのだ。


 アンジェは、ミリアム家の技術を持つカグヤの視点を問いかけた。


「カグヤさんは、私たちの武器に対しても感じるところはあるのですか?レムさんも含めれば、5人の武器がありますが。」

「そうだね、特に感じるのはリンとアンジェだね。黒剣と短剣を使ってると思うけど、手の動かし方や体の動き、特に武器で攻撃を受ける部分が同じ方向だけなんだ。どれだけ扱いが良いとしても、壊れる可能性が特に高い。」


 カグヤの意見を聞き、リンとアンジェは武器を取り出し、自分の武器の傷を見る。


「確かに、俺の黒剣は同じ部分が傷ついてるな。カラマタの鍛治職人が、特殊武器の中でも特に使う人がいないからって、その場ですぐ買わせてくれた。」

「うちの短剣は、傭兵として生きる為に、偶々通りかかった商人から買ったものですね。」

「2人とも、それであれだけ戦えていたの!?」

「え、セラの銃剣も特殊武器だろ?アンジェは違うもしれないけど、俺とは大差ないんじゃ。」

「何言ってるんですか!武器は自分の命を預ける、戦う人たちにとって必需品ですよ!特に、危険なクエストや、スタンピードを対処する人たちは体の採寸からして頂いて、自分の武器を作ってもらうものです!」



 レムの迫力に、リンとアンジェは押される。


「そ、そうなのか。レムがそこまで言うんだ、俺とアンジェが普通じゃないってことは理解したよ。」

「ですが、うちらの住んでいたワノモトて使っていた武器をカグヤさんにお願いしてもいいのでしょうか?正直、この先作る可能性は0に近いと思います。」

「それだからこそさ、リンとアンジェは異世界人であるが故に、これから先どんな武器を使う奴が来るのか参考になる。ぜひ、うちに作らせてほしい。」


 カグヤの覚悟を受け止めた支援課ダーヴは、


「ありがとう、カグヤ。俺たちの命を預ける武器、是非作ってほしい。必要なものは俺たちで手に入れるから、遠慮なく言ってくれ。」

「ああ、任せてもらうよ。あたしも、ここで止まってるつもりはない、良いきっかけがもらえたこと感謝するよ。それで、試しにと言ってはなんだけどもう既に1人分は作ってみたんだ。」

「え!?早くないですか!?うちと兄さんの武器は合ってないのが分かってて、セラさんとレムさんは王都で武器のあれこれを知っていた。……ということは。」

「僕、ですか?」

「そう、紛れもなくあんただよ、オウロ。あんたが使っている金属製グローブは、一般的にも多く出回っているものだ。だから、何度も目にしたあんたの動きと、この前あんたの手のサイズを聞いただろ?それで、作ってみたんだ。」


 カグヤはアネモネの入り口近くに置いてあった、木の箱を持ってくる。


「ここに、オウロ専用のグローブを入れてある。ぜひ、開けてみてくれ。」

「は、はい。分かりました。」


 オウロが木の箱の蓋を開けると、中には、


 表面は鮮やかな濃い青色で彩られており、金属製のため眩しいほどに輝いている。

 そして、持ち上げてみれば金属製とは思えないほどの軽量でもあり、自分の動きに制限がかからないことはつけなくても理解できた。


「すごい、触れただけで雰囲気を感じる。この一品は、相当なものだって。」

「実際に付けてみてくれ、オウロ。微調整が必要だと思うからね。」

「はい。」


 オウロはカグヤが製作したグローブを身につけると、

 その凄さに圧倒される。


「すごい、手の稼動域を制限されないのに、これまでのグローブ以上に安心感がある。軽さもそうだけど、手全体を支えてくれてる感じもする、これまでよりも上手く技が使えそうな気がします。」

「そこまで言ってくれるなら、鍛治職人冥利に尽きるね。特殊な鉱石が必要だから、みんなの分を作るにはその素材を取ってきてもらうことになるけど、オウロの感動をみんなにも与えたいと思ってるよ。」

「ありがとう、カグヤ。これで、俺たちはもっと幅広く活動して、もっと強くなれる。そのグローブをつけたオウロからも、いつもと雰囲気が違うのが伝わってくるな、武器ってそれだけ大切ってことか。」


 カグヤの説明を受け、改めて武器の大切さを理解した支援課ダーヴ


 そして、今回武器を生産するにあたり必要な素材をカグヤから言い渡されるのであった。

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