第77話 村の魅力

 シオンでは、新たに3つの野菜が収穫されていた。

 黄色い大きな粒がたくさんついたコーン、1枚1枚の葉が大きいベビーリーフ、白さと赤さが美しいコントラストをしたラディッシュ。

 茄子とトマトも追加で収穫でき、レシピを新たに考案するタイミングがバッチリだった。


 野菜はポテトを収穫できれば、今の畑で育てているものが全て手に入れられる。


 リンとレムがキッチンに立ち、


「野菜の種類が増えたな、今回の野菜も大きさもそうだけど香りもいいし、何より瑞々しい。」

「そうですね!シンプルにサラダがいいと思いますよ!ただ、かけるドレッシングに細工をしたいですね。」

「ドレッシングか……そういや、アンジェと会ったパトラで食べた焼き鳥が、甘塩っぱいタレで美味しかったんだよな、応用できないか?」

「ここにある野菜はクセが強い食材が少ないので、ドレッシングが主張つよくてもいいですね、そしたら肉パターンの魚パターンで。」


 2人は野菜を切っていき、ドレッシングを2つ作り上げ新メニューを完成させた。


「よしっ、できた。」

「うん、自信作です!早速食べてもらいましょう、今いるのは……。」

「足音的に、オウロとカグヤだな。呼んでくるな。」

「足音で判断しないでくださいよ、あたしには分からないんですから!」

「ん?あ、悪い。」


 リンはオウロとカグヤに声をかけて、テーブルにつかせる。


「新作ができたのかい?」

「ああ、新しい野菜も増えたからシンプルに食べやすいものを作ったぜ。」

「お待たせしました、です!」

「ずいぶん派手な名前ね、リン達らしい。」


 作り上げたサラダ、海と陸のサラダは、


 ベビーリーフを1番下に敷き、大きめに丸くカットしたトマトと一口サイズに切ったラディッシュを多く乗せ、最後に茹でたコーンをまぶす。

 作り上げられたサラダに、右半分には鶏肉をミンチ状にして甘塩っぱいタレと絡ませたものをかける。

 左半分には、イカをすり潰してペースト状にしたものをソースとして上からかける。


「いただきます。」


 オウロとカグヤがサラダを取り分け食べ進める。


「うん!とても美味しい!あたしは魚が好きだしサラダにとても合うソースだね!香りは強いけど、野菜の香りと味を壊してない。」

「こっちは、サラダの瑞々しさと肉のジューシーさも楽しめてとても美味しいよ!お肉好きの人はたまらないだろうね!」

「好評みたいでよかった、これでサラダとピザは出来た、最低限スープ、飲み物、前菜、メインディッシュの4つは揃えたいな、そうすれば全6品になる。」

「そうだね、エリさんとリーナさんもアドバイスしてもらえると話されてたので、楽しみにしてましょう!」


 サラダを食べ終え、仕事に戻るカグヤとオウロを見送り、リンとレムはとあるものを持ち外に出た。


「さて、次は宣伝の時間だな。レム、やってみようぜ!」

「はい!看板娘の力お見せしますよ!」


 2人は村近くを通る行商人に対して、


「すみませんー!行商人さんは薬草って取り扱ってますか?」

「ああ、あるよ!何個所望だい?」

「10枚お願いします!後、これもどうぞ!」

「では銅貨5枚ね。これは、パンかい?」

「はい!近くのシオンって村で売られてる人気なパンなんです!感想はいいので、ぜひ食べてみてください!」


 レムは薬草を買い、行商人に手を振って見送る。


「よしっ、完了。次の人はいつ来るかな〜。」


 これは、リンが考えた作戦だった。


 内容はシンプル、宣伝だ。



 シオンという村は、まだ誰にも認知されていないと言っても過言ではない。

 そこで、注目を集めるために何か目に留まるものを作りたい。


 それがグルメ村として作り上げられていっているシオン。

 そのシオンには、料理という武器、つまり手軽に食べられる焼きたてのパンを行商人に配ることにした。


 ただ、そのまま渡すのではなくリンやレムといった印象に残りやすい顔の人が、買い物をしてパンを渡すという記憶に残りやすい行動をとることで、行商人が噂を広めてくれることを狙った。


 今日は15人の行商人に配り終えた。


「レム、お疲れ。どうだった?」

「いい感じだと思います!その場で食べてまた来ると話してくれた人もいましたよ!」

「狙い通りだな、レムっていう魅力がある人が渡すのも効果があるんだろうな。」

「え、リンさんあたしのこと狙ってます?」

「いや、単に思ったことを伝えただけ。」

「即答しないでください!なんか悔しい気持ちになります!」


 リンとレムは宿舎に帰り、疲れを癒すべく眠りにつく。


 シオンも建物が徐々に直されており、住民こそ増えていないが住みやすい雰囲気になりつつある。


 リンとレムのコミュニケーションも良く、毎日続けることでより宣伝に効果を発揮できてきた。


 合間を見て、リンとオウロのペアでカラマタのクエストもこなし、マクセル達の手伝いもあり村らしくなっていくシオン。


 その効果は、確実に周りに伝播していた。



 その証拠に3日後、シオンの村の近くに黒服の数人が集まっていた。


 はたして、彼らは何者なのか?

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