第287話 最後の戦い

 リンとセラは、武器を構えウォーウルフを見つめていた。

 そのウォーウルフの右足は、赤い炎で燃える。


「くっ、ふんっ!」


 風圧を生み出し、自力で炎を消すウォーウルフ。


「オウロ!アンジェを!」

「ああ!」


 オウロはアンジェを抱きかかえ、距離を取る。


 その隙に、リンとセラはウォーウルフとの距離を詰める。


「なんだ、さっきの炎は。」

「さあ、答え合わせでもするか。」

「お前の炎ではないだろう、あの熱をお前が操れるわけが─。」

「俺1人じゃない。」

「私たちの力よ!」




 リンとセラはオウロとアンジェが戦闘している間に、数秒で作戦を立てた。


「セラ、俺はムクナ師範の教えを受けて、その先に辿り着くことが出来た。なら、俺が1人で進めた道を俺とセラならさらに先まで進めると思わないか?」

「それって、あなたの十華一刀流(トウカイットウリュウ)と私の七石魔術(シチセキマジュツ)を応用するってこと?」

「そうだ、俺は熱を操れる。セラは、魔術で熱を発動できる、だったら。」

「私たちの連携技が、出来るかもしれないってことね。でも、失敗したらあなたが。」

「大丈夫、俺とセラはパートナーだろ。ぶっつけ本番でも、失敗しない自信が俺にはある。だって、愛してるパートナーとの共同作業なんだからな。」

「……はぁ、今でなければもっと喜べる言葉なのに。でも、やるしかないわね。」


 そうして、リンは刀を構え熱を帯びさせる。

 そこに、


「輝け、緋(ガーネット)。」


 セラが刀に触れ、リンの灰色の刀を真っ赤な炎で覆う。


 そして、アンジェのピンチに炎の斬撃を放ちウォーウルフを燃やしたのだ。



「流派と魔術の融合、そんなことができるわけ。」

「アンジェも言ってただろ、可能性が0じゃないならできることもある、俺たちが証明だ。そして。」

「あなたを止めるわ、支援課(ダーヴ)4人で!」


 リンとセラは正面からウォーウルフと対峙し、


「力の解放、千変万華(センペンバンカ)。」

 リンの髪が赤く変色し、目は黒目に青い瞳になる。


 さらに、

「追(ツイ)の型、枷を外せ、劫火絢爛(ゴウカケンラン)。」


 抜刀の摩擦で刀に熱を持たせ、自信の身体能力も向上させる。


 続けて、


「希石の煇(アレキサンドライト)、展開(オープン)。」

 セラを透明なオーラが包み、魔術でもう1本の銃剣を生み出す。



 最後に、


「いくわよ、リン!」

「ああ!これが俺達の、新たな一歩!」


 セラがリンの刀に触れ、


「煉獄(レンゴク)、天華(テンカ)!」


 リンの刀が眩しい赤い炎を纏う。


 リンとセラが作り出した、新しい技だ。


「ちっ、残りの魔石を全て使ってやる!ここで死ね、ウラノス!レア!」

 ウォーウルフの中身、ブラッドが持つ魔石を全て砕き、自身に強化を施す。


「俺たちの思い、その身で受け取れ!」


 リンとセラが走り出し、


 振りぬかれた剣を、リンは刀で弾く。

 迫る鋭い足の鎌は、


「遅いわよ!」


 セラの2本の銃剣で弾き返される。


「くっ、まだまだ!!」


 さらに筋肉を増幅させ、地面を削りながらリン目掛け剣を振り上げる。


「頭に血が上ったか、ブラッド!」

「っ!?」


 大振りの一撃を、


「輝け、濃碧(ペリドット)。」


 セラの銃剣が濃い緑色に輝き、リンの前に緑色の壁が生み出され、右剣を跳ね返す。


「なっ!?」

「俺たちは2人で1人だ。忘れてくれるなよ!」


 リンは足元目掛け刀を3振り。


 頑丈な防具を関係なく、炎が溶かし体に傷を入れる。


「うがぁぁ!ウラノス、貴様!」

「俺ばかり見てたら、危険だぜ!」

「つ!!」


 銃剣の銃口が、ウォーウルフの右目を狙う。


「輝け、深蒼(ラピスラズリ)。」


 銃剣が眩しい青い光を放ち、氷の光線が右目を凍り付けにする。


「ぐぁぁ!」


 戦況はリン達に優勢に見える。



 しかし、


(くそ、予想以上に体力の消耗が激しい。これじゃあ後持って。)

(私もリンも、15秒って所ね。それでも、希望がある。リン、私を感じなさい、さっきの同調(シンクロ)は奇跡で使えたんじゃない、私達ならできるってことを証明する!)

「お前ら如きに!!」


 ウォーウルフも最後のあがき。

 体中から黒いオーラを放ち、リンとセラの動きを阻害する。


「くそっ、時間がないって時に。」

「お前たちでは、我に勝てない─。」

「いいえ、うちらは負けません!」

「そろそろ効いてくるんじゃないかい、体を動かし続ければ、僕らの流した攻撃が!」


 アンジェとオウロの言葉通り、ウォーウルフの放つ黒いオーラが途端に弱まる。


「そうか、アンジェの流した静電気が体中をめぐって麻痺に繋がったのか!」

「オウロの付けた深い傷が、さらに静電気を効果的にさせている。後は、リン!」

「おう!」


 リンとセラは正面からウォーウルフに向け走り出す。


「来るなぁ、人間如きが!」


 体から放たれる黒いオーラが、弾丸の様に迫る。


 最低限の動きで2人は黒い弾丸を弾き、体に掠めても痛みで止まることはない。


「もう手遅れだ、お前達には世界は変えられない!」

「知ったことか!お前の計算で、世界は全て回ってるんじゃない!」

「あなた1人で出来ない事でも、私達ならできる!そう信じて、ここまで来たんだから!」


 そして、2人は高く跳びあがり、


「ぐぉぉ!!」


 口から巨大な黒い光線を放つウォーウルフ。


 その攻撃を正面から刀と銃剣で迎え撃つリンとセラ。


「はぁぁ!!」


 さらに火力を上げるウォーウルフ。




 それでも、


「これが、あなたの拒んだ光よ!」

「命の輝き、思い知れ!」


 押し返されつつあったリンとセラだったが、負けじと押し返す。



 そして、


 赤い炎が、蒼い炎へと姿を変えた。

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