第37話 シープル男爵の依頼
ある日のこと、森のなかでクマさんに出会った。
クマさんちにつれられてくと、親戚の男爵に紹介してくれた。
「よろしく頼メェ〜。シープル男爵でメェ〜」
「……」
なんで、クマさんの親戚がヒツジなんだ?
モコモコふわふわのヒツジさん。これまた、ぬいぐるみみたいで可愛いなぁ。モコモコすぎて、服が着れてない。かろうじてマントをはおってる。どうせ全身毛だらけなんだから、服なんていらないと思うけどね。
「シープル男爵さまですね。ご依頼はどんなものですか? 今ならA級ダンジョンでもご案内できますよ」
なにしろ、兄貴がついてるからね。自分の借金なんだから、たっぷり働いてもらわなくちゃ。
「ここより北にあるC級ダンジョンを所望するメェ〜」
「オランジュの北にあるC級……オランジュC15〜25のうちどれでしょう?」
クマさん子爵の客間。用意された街の地図をテーブルにひろげる。
じつをいうと、オランジュってのは有名なダンジョン街だ。街じゅうに小から大まで、FからAまでのダンジョンがものすごい数ある。そういうのができやすい土地みたいなんだ。全部で五百近いってんだから、マンエンディにくらべても十倍はある。マンエンディだって、よその土地よりは多いほうなんだけど。
Sクラスとか、もっと上の特Sクラスのダンジョンもあるはずだ。そんなのはギルドや貴族が管理してて、一般人は入れないけどね。
「オランジュC17メェ〜。そこに息子をつれていってほしいメェ。金貨二十枚だすメェ」
ん? たかだかCランクに金貨二十枚? 割がよすぎる。何か危険な香りがする……。
「えっと? C17は入ったら呪われるとか、そういう特殊なダンジョンですか?」
プルプル。ヒツジさん、クマさんがそろって首をふる。
「ダンジョンはふつうメェ」
「うむ。いたってふつうのCランクだな」
「そうですか」
貴族だから、ガイドの相場がわかってないのか?
そういや、クマさんパパから報酬に金貨二十枚もらったかも。だから、ガイド料が一律その値段だと勘違いしたのかもしれないな。そんなら、へたに指摘して安くなっちゃ困る。このまま二十枚もらおう。
「わかりました。金貨二十枚でオランジュC17を案内ですね。お任せください」
ドンと胸をたたいたんだけどさ。まさかね。あんな落とし穴があるとは。
「うむ。では、わが息子たちを紹介するメェ」
カチャリとドアがひらいて、モッコモコのヒツジさんが顔をのぞかせる。かなり幼いのか、四つ足で歩いてる。服も着てない。完全にぬいぐるみだ。動くぬいぐるみだよ。ヒツジのぬいぐるみって可愛いの多くないか? サイズは小形犬くらいかな。モフモフするのにちょうどいい。
獣人族ってのは幼いほど、原型の動物に近いらしい。ピヨピヨたちも、まんまヒヨコだったしな。
はぁ。今回も幸せな仕事になりそうだ。モフモフしてもいいかなぁ? 天然ウール。モフりたいよねぇ。
なんて気楽に考えてたあたしは次の瞬間、あんぐり口あけてしまった。口がどんどんあいて、そのまアゴ外れるかと思ったよ。
だってさ。一匹トコトコ室内に入ってきたと思ったら、そのあと、ゾロゾロ、顔だすんだもん。えっと、まだ? まだいるの? 何匹なの? ピヨピヨだって十二人だったのに? これ、十二やそこらじゃないよね? えっと、三十……五十……?
「わが息子、娘三十人と、弟夫婦の子ども二十人、妹夫婦の三十人、従兄弟夫婦の二十人、あわせて百人いるのだが、かまわんかね?」
「……」
いや、いくらなんでも、百人は……だって、一匹でも迷子になったらアウトなんだろ? リスク高すぎんか?
「お待ちください。テディエラ子爵のご依頼はBランクダンジョンでしたが、ご子息お一人でした。今回、Cランクダンジョンとはいえ、その百倍の百人ですので、金貨五十枚はいただきませんと。全員の安全を守るためには、それなりの高度な魔法が必要になりますので」
あと、高度な子守り力ね。
「しかたあるメェ〜。金貨五十枚で頼むメェ。全員の儀式が一度に終われば、とうぶん、のんびりできるメェ」
しょうがない。ふつうのCランクダンジョンだし、いっちょ、やりますか。
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