答え

アキドス

答え

ある村の一軒の家。

父と母、幼い妹、そして妹とさほど年の変わらない長男──。

そんな家に突然、兵士たちが押しかけてきた。

彼らの目的はただ一つ、逃げた父の居場所を突き止めること。

兵士たちは家に残っている者たちを居間に集め、隅々まで探し回る。

数分後、一人の兵士が舌打ちをしながら家族に目を向ける。

たとえ人の血で染まっても、元からその色だったような真っ赤なワンピースを着ている母

赤い絵の具が飛び散ったような水玉模様の服を着ている幼い少女

そして、まだ何色にも染まっていないような真っ白な服を着た長男──

これから兵士たちは、その中から一人を選んで彼らの父の行方を問いただすだろう。

尋問の途中で嘘が見破られた時、三人の命はない。

しかし、父の居場所を教えたら、父は死ぬ。

兵士たちは三人をゆっくり見渡す。

母に聞いてみたらどうだろう。

何もかも知っているが、それだけに嘘も上手であろう。

嘘を見抜くことはできても、父を見つけられなければ無駄な殺人になる。

さらに、母の嘘に惑わされることもあり得る。

そう考えたのか、兵士は母を候補から外したように目を背ける。

では、幼い少女はどうだろうか。

少女は今の状況に怯えて泣いている。

少し怖がらせることでぽろりと喋ってしまうかもしれない。

だが、せいぜい五歳前後だ。

彼女の言葉を鵜呑みにするのは危険だ。

それに、ただ泣いて何も言わず無駄な時間になる可能性もある。

だから幼い少女は、最後の手段だ。

残るは長男だ。

幼い少女より年上で成熟しているから、確かな答えが期待できる。

とはいえ、子どもは子どもだ。

嘘をついたときの動揺も見抜きやすい。

兵士たちは長男を前に連れ出す。

残り二人は他の兵士に押さえつけさせられた。

これから尋問が始まる。

『最後にお父さんを見たのはいつかな?』

長男は、首を絞められるような恐怖を感じる。

だが、兵士たちの前に立つ長男の顔には、恐怖など見えなかった。

彼らに恐怖を見せてはならない。

子どもの純真さを彼らに見せるのだ。

長男は何と答えるべきか考える。

もし本当のことを言えば、父は殺される。

だが、嘘をついて見破られれば、家族全員が殺される。

おそらく、あいつらは父の最近の居場所を知っているだろう。

そうでなければ、家に突っ込んで隅々まで探したはずがない。

つまり、ここで嘘をついてはならない。

嘘をついた瞬間、家族全員が死ぬ。

だから、彼らが知っている事実を伝えるしかない。

「お父さん、最近家に来ましたよ」「ご飯を食べてから、肩車をしながら遊んでくれました」

子どもの純真さがにじみ出るように演じて、兵士たちを少しでも油断させるのだ。

きっと彼らは長男の答えを聞いて、お父さんの行き先を尋ねるだろう。

父を殺すために来たのだから。

彼らは、この国のすべてを探してでもお父さんを殺しに行くはずだ。

だとすれば、この国に父が生き延びられる場所はない。

そうなればお父さんがどこへ、何で逃げるのかを考えなければならない。

兵士にも見つからず、誰にも知られず暮らせる場所…

つまり、他国だ。

ならば、何で他国へ逃げるというのか。

こっそりと国外へ抜け出せるルートを考えねばならない。

港なら一隻一隻取り締まることはできないはずだ。

さらに、兵士たちにも父が外国へ逃げようとしているという示唆を与えることができる。

そうだ。

長男は、港へ父が行ったというしかない。

たとえ家の地下室にお父さんが隠れていたとしても。

長男はこのすべてを見越して答えられるだろうか。

長男の服の色は、どのように変わるだろうか。

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答え アキドス @Akidos25

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