第二十一話

 すると奥さんのナエミさんは、お礼を言った。

「あんな立派りっぱなアジをたくさん、ありがとうございます」


 なので私も、お礼をと自己紹介をした。

「いえいえ。私の方こそイアサさんから、小舟こぶねを貸していただいてありがとうございます。あ、それと私はリーネと申します。よろしくお願いします」


 そうしてナエミさんは、左にあるかまどに向かった。

「それではこれから、早速さっそくいただいたアジを料理するので」と言って。


 そしてイアサさんからイスに座るようにすすめられたので、私は座った。そして、思い出したことを聞いてみた。

「あの、魚をお礼に渡しても良かったんでしょうか? エルフって、野菜しか食べないのでは?」


 するとイアサさんは、微笑ほほえみながら答えた。

「いえいえ。確かに私たちエルフは野菜が主食ですが、魚や肉も食べます。量は少ないんですが」


 ふーん、そうなんだ。でもまあそれなら、私が渡したアジがムダにならずにむか。そう安心していると、イアサさんは聞いてきた。

「ところで聞きたいんですが、リーネさんは魔法でアジを釣ったそうですね。一体いったい、どんな魔法で? やはり人間が使っている、現代魔法ですか」

「いえ。私が使ったのは、古代こだい魔法です」

「え? 古代魔法?」


 なので私は、説明した。偶然王立図書館で古代魔法書を見つけて、それに書いてあった『絶対に魚が釣れる魔法』で釣ったと。するとやはりイアサさんは、おどろいたようだ。

「なるほど。古代魔法に、そんな魔法があったんですか」


 イアサさんによると、やはりイアサさんの職業は漁師りょうしだそうだ。でも最近は、魚があまり釣れなくなっているようだ。最新の研究によると、この惑星ギアマは温暖化おんだんかしているらしい。


 その影響で海水も温かくなり、それが原因で魚が釣れなくなっているようだ。うーむ、なるほど。そしてイアサさんは、聞いてきた。

「なのでもし良かったら、その『絶対に魚が釣れる魔法』を私に教えてくれませんか?」

「はい、もちろんいいですよ」


 と私はイアサさんに、魔法を教えた。魔法を使う時は、釣りばりに意識を伝えるイメージであることも教えた。するとイアサさんは、お礼を言った。

「ありがとうございます。早速明日あしたためしてみます」


 そうして私は、少しうれしくなった。最新魔法が使われているこのエルフの国で、古代の魔法が使われることに。おそらく国のシステムさえも、人間の国よりも進んでいるエルフの国で。そこまで考えた私は、聞いてみた。

「ところで息子さんのノリタ君は今、学校に通っているんですか?」

「はい。現在は、義務教育学校に通っています」


 ふーん、そうなんだ。義務教育学校があるのは、人間の国もエルフの国も同じなのか。でもイアサさんの話を聞いていると、とんでもなことが分かった。

「え? エルフの国では学校の授業料がタダなんですか?!」

「はい、そうです。なんなら給食も、タダです」

「え? 給食? 何ですか、それは?」


 するとイアサさんは、説明してくれた。給食とは学校で出される、昼食ちゅうしょくだと。しかもそれが、タダ?! す、進んでる。さすがエルフの国、進んでる。


 私が学校に通っている時は、毎朝お母さんがお昼のお弁当を作ってくれたのだが。だからお母さんは毎朝、大変そうだった。それに比べたらエルフの国のお母さんの、負担ふたんは軽いだろう。


 それに今日、エルフの国を見学したらエルフはみんな、幸せそうだった。そうイアサさんにこの国の感想を言うと、イアサさんは答えた。

「そうですね。今この国は国王の方針で、最新魔法を研究開発しています。皆がより、簡単に魔法が使えるように。


 そしてその魔法で我々の主食である、野菜も簡単に作ることもできるんです。なので我々は無理に働かなくても、食べていくことができるんです。そういう余裕よゆうがあるので、この国のエルフは幸せそうに見えるのかも知れますせん」


 なるほど、さすがエルフの国だなー。毎日働いて給料をもらって食べなければならない我々人間の国とは、大違いだなー。と私が再びエルフの国は進んでるなあと感心していると、ナエミさんが料理をテーブルに持ってきた。

「リーネさんにいただいたアジで、アジフライとアジのムニエルを作ってみました。どうぞ、召し上がってください」

「はい、いただきます」


 アジフライはさくっとこうばしく濃厚のうこう旨味うまみがあって、アジのムニエルは味が良くからんでいてバターのコクも良くて美味おいしかった。と私がナエミさんの料理に満足していると、イアサさんは聞いてきた。

「そう言えばリーネさんは、どうしてこの国にこられたんですか? 観光ですか?」

「いえ。私は国王の依頼いらいで、この国でしか釣れない高級魚のヒラメを釣りにきたんです」


 するとイアサさんは、うなづいた。

「なるほど、ヒラメですか。確かにこの国でしか釣れない、高級魚ですね。昔は結構れたようですが、最近は獲れたという話は聞きません」

「あー、そうなんですか……」


 と私は本当にヒラメが釣れるかどうか少し不安になったが、それでもやるしかない。ヒラメを国王に渡して、三○○万ゴールドをもらうために! 

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