自由。そこそこの人が、親元を離れ手に入れ、一度は謳歌する機会。
主人公はその機会なく、日々老いていく両親、特に介助が必要になっていく
父親の存在を前提に、毎日を、そして未来を考えなくてはなりません。
あれ、自分の人生って、誰のためのものだっけ。
そんな問いすら、日常の雑多な(けれど無視できず、軽くもない)ことがらに埋もれ、
噛みしめる間もなく消化されていきます。
本作は、そんな主人公が夢の中で、自分だけの家を建てるという、
日常ファンタジー(と、思っています)。
旅立ち、あるいは自立がテーマかと思い、確かにそれは間違いではないのでしょうが、
終盤にある仕掛けが施されています。
各人の自由は、けして目に見えるものばかりではありません。
だからこそ、どういったかたちでもそれに手を伸ばすことは希望であり、
たとえ現実逃避であっても、懸け橋になるのかもしれません。