契約破棄と信用崩壊
訴訟は長引き、アキラの人生は急降下を始めた。
まず、ノベル・アトラス運営からの対応があった。
「藤堂様。誠に残念ながら、この度の訴訟を受けまして、貴方の作品の連載を一時停止とさせていただきます。また、すでに発生した収益の一部も、係争中は凍結となります」
次に、書籍化の版元である出版社からの契約破棄。
「藤堂様。アニメ化企画も、この状況では続行不可能です。全ての書籍を回収・絶版とさせていただきます。契約に基づき、回収費用の一部を請求させていただきます」
アキラは、自宅で崩れ落ちた。収入源は全て断たれ、逆に多額の違約金と訴訟費用がのしかかってきた。
「そんな、嘘だろ……俺はただ、効率よく小説を『編集』したかっただけなのに……」
彼に残ったのは、38作品を爆撃して稼いだ、わずかな貯金と、高性能なAI小説生成ツールだけだった。
彼は藁にもすがる思いで、残った貯金を叩き、さらなる高性能なAIモデルを購入した。
「新しいAIなら、きっと大丈夫だ。学習データを調整すれば、盗用なんて起きない!」
彼は、プロットの構造をAIに深く学習させず、より表層的なアイデア出しと、単なる文章生成に利用する方向へとシフトした。
しかし、彼の作品には、以前のような魅力が失われていた。
彼の初期の傑作が「面白かった」のは、AIが学習データから抽出した**「売れる物語の骨格」**が、無意識のうちに組み込まれていたからだ。それを排除した結果、彼の小説は、ただの陳腐なアイデアの寄せ集めとなり果てた。
彼は新たなペンネームでノベル・アトラスに復帰しようと試みたが、すぐに読者から見破られた。
「あれ?この文章の癖、前に炎上した藤堂アキラに似てないか?」 「このプロット、全然面白くない。やっぱりAI任せで中身がないんだよ」 「もうAI小説なんて読むか!人間にしか書けないものを読ませろ!」
アキラの信用は完全に崩壊した。AI小説というビジネスモデル自体が、著作権問題の象徴として世間に忌避され始めたのだ。
高層マンションの豪華な生活は終わった。アキラは、家賃を滞納し、最終的にはかつて住んでいたボロアパートよりもさらに狭い、木造の六畳一間に逆戻りした。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます