コンコンきつねくんのおいなり屋さん🦊🍃

夢月みつき

本文「コンコンきつねくんのおいなり屋さん🦊🍃」

 これは小さな動物村の小さな狐とお店のお話です。

 恥ずかしがり屋で、油揚げ好きなきつねくんはある日、村の商店街の一角で「おいなり屋さん」をはじめました。



 甘辛い煮汁がたっぷり沁み込んだ、ふっくらお揚げにシャッキリ酢飯を使った美味しいおいなりさん。

 きつねくんは「お客さん来てくれるといいな」

 ドキドキしながら待っていた。

 けれど、いくら待ってもお客さんはお店の前を素通りしてしまいます。



「どうして誰も来てくれないんだろう」

 

 きつねくんの目からぽろりと涙がこぼれました。

 きつねくんはおじいちゃんに泣きながら電話をしました、きつねくんのおじいちゃんが、孫が心配でお店へやってきました。



「わしも一緒に呼び込みするから、きつねくんも「いらっしゃいませ」するんだよ」


「うん、おじいちゃん、ぼく頑張るね」


 きつねくんとおじいちゃんは一緒に呼び込みしました。

 恥ずかしがり屋のきつねくんも一生懸命、大きな声で



「いらっしゃい、美味しいおいなりさんはいかがですか?」

 すると、一人二人とぽつぽつだけど足を止めて、きつねくんの作ったおいなりさんを見て行ってくれました。



「あら、美味しそうね。お昼ご飯にこのおいなりさん、二つちょうだい」

 たぬきのおばさんが、にこにこ笑顔で、おいなりさんを買ってくれました。

「はいっ、おいなりさん買ってくれてありがとう、とっても美味しいですよ!」



 きつねくんは尻尾をパタパタ振りながら、嬉しくて頬を染めてにこ~っと笑いました。


 そんな、きつねくんをおじいちゃんも微笑ましく嬉しそうに見守っていました。

 

 次の日からお客さんが入り始めて、やる気が出たきつねくんは、柴漬け入りのおいなりさんや昆布入り、あさりのしぐれ煮入り、豚汁などの新メニューを出し始めたそうです。




「コンコンきつねくんのおいなり屋さん🦊🍃」

 おわり



 最後までお読みいただきありがとうございました。


 ※お話はこちらの短編集にも同時掲載しています。

 「夢の月🧸童話短編集」

 https://kakuyomu.jp/works/16818093074140338762

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