牌神様がみてる 2話
主が白雪の君の従妹になったことは瞬く間に学園に広がった
「まさか、姫が従妹をとるとはねぇ」
窓から見下ろした先、校庭を仲良く歩く二人。
「おめでたいことでは?」
「フッ。たしかに祝すべきことだよ。でも……果たして、それは従妹ちゃんは望んだ事なのかな?」
◇
「お姉様は、明日は学園にいらっしゃらないのですか?」
「えぇ。少し用事があってね。夕方には戻ると思いますわ」
〜
翌日。主1人での登園。
いつもは周りにお姉様目当ての人だかりが出来ていたが、今日はうっすら距離を感じる。
ひそひそと漏れ聞こえた。
「主さん、今日はお一人でしたのね」
「えぇ、お姉様がご用事で」
「誘ってくれたら一緒に登園しましたのに」
「ごめんなさい。私も急に聞きましたので。今度またよろしくお願いします」
お姉様の従妹になった主はクラスで遠巻きにされていた。
一人浮いてる主に気兼ね無く話しかけてくれた友は、彼女もまたこの学園で三女神のプティスールに選ばれただけあって、肝が座っているというかあまり気にしない正確なのかもしれない。
◇
夕刻。
「主さん、ちょっといいかしら」
廊下で呼び止められる
振り返ると2年の集団。
「あなた、新入生にしては随分な振る舞いですわね」
「図々しくも白雪の君の従妹になるなんて。この学園のルール(?)がわかってらっしゃらないようね」
「えっと……なにか誤解があるようで、私はお姉様から従妹にして頂いたわけで――」
「白々しい。あなたみたいな芋娘を白雪様がお選びになったですって!」
「なにか卑怯な手でも使ったんじゃないの!」
「……お言葉ですが、それはお姉様に失礼では?」
「な、なによ」
「先輩方はお姉様がそんな姑息な手段に屈するようなお方だと思ってらっしゃるのでしょうか」
「ッ!知った口を!」
手が飛ぶ。それを後ろから伸びた手が受け止めた。
「はい、ストップストップ」
「あ、あなたは――!」
驚いてよろけた主人公を支える無表情。
王子はそのまま繋いだ手を引っ張り抱きとめる。
顔を近づけ囁く。
「暴力は感心しないね
「そんな怒った顔より、僕は笑顔の君の方が好きだな」
ふわーお
「し、深緑の君。いくらあなたでも、これは関係なくありませんか」
「たしかに、君たち白雪姫ファン倶楽部の気持ちもわかる」
「でしたら!」
「でもね、寄って集って何も知らない新入生ちゃんに問い詰めるのはフェアじゃないよね」
「だったら、ここはフェアに話をつけようじゃないか」
◇
講堂に移動。
噂を聞きつけたギャラリーで既に観覧席は満員だった。
卓に着くファン倶楽部の3人を止める。
「言ったじゃないか、フェアにいこうって。」
「こちらは主人公ちゃんと、僕……は、流石にフェアじゃないね。じゃあ無表情ちゃん、入ってくれるかな」
「構いませんが。やはり私に押し付けましたね」
「ごめんって。あとでお詫びはするからさ」
〜
「負け、ました」
「なんで」
◇
「姫は……あぁ、白雪の君の事ね。彼女は、正式な拝命者(?)じゃないんだ」
襟元からネックレスを取り出す。
チェーンの先には1枚の牌が下がっていた。
裏に刻まれた学園の校章。表には『発』の一文字。
「これはね。学園ランキングによって選ばれた者達だけが持つ事を許されたものだよ」
「僕の持つ『発』の牌。そして中と白の牌。この3枚を持つ者たちは三女神と呼ばれる学園のランキングトップの実力者だ」
「けどね、これは一部だけにしか知らされてないことだけど……」
「今は『白』の牌は学園には存在していないんだ」
「僕も詳しく知ってるわけじゃないけど、◯代前の拝命者が、従妹を選ばずに学園から持ち去ってしまったという話だよ」
「だから『白』の座は暫く空席になっていた。その所以もあってかなりたがる者も居なかったらようだね」
「けど2年前、まだ新入生だった彼女は1年にして当時のランキングトップを打ち負かしたんだ」
「実質1位になった彼女が選んだのが『白』の座。周りは反対したけど、誰も止められなかったね。だって勝てないもん」
「そして彼女自身『白牌』を持たないことへの罪悪感かわからないけど、今までずっと従妹を選ぶことはなかった」
「そして君だ。まさに青天の霹靂だね」
「だから僕も、君に興味が湧いたわけさ」
「君、僕の従妹にならないかい?」
プロットのようなものです 剣城龍人 @yamada9999
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