概要
その令嬢は、標本を愛していた
「うふふ」
部屋の壁一面に飾ってある昆虫の標本を眺めていると、思わず口角が上がる。
アゲハ蝶、カブトムシ、コオロギ、ギンヤンマ、等々――。
昆虫のフォルムというのは、見れば見るほど美しい。
いくら眺めていても飽きないわ。
私はそれらの標本の中央にある、一つだけ中身が空のケースに右手を当て、感慨にふける。
――その時だった。
「お嬢様、そろそろ夜会のお時間です」
侍女のアレハンドラに声を掛けられ、すっと現実に戻された。
「ええ、今行くわ」
「……相変わらず、圧巻の光景ですね」
無機質な表情で標本を見つめながら、アレハンドラが呟く。
「うふふ、そうでしょ」
本心ではどう思っているかはさておき、そう言われるのは悪い気はしない。
さて、今日は大事な大事な夜会。
気
部屋の壁一面に飾ってある昆虫の標本を眺めていると、思わず口角が上がる。
アゲハ蝶、カブトムシ、コオロギ、ギンヤンマ、等々――。
昆虫のフォルムというのは、見れば見るほど美しい。
いくら眺めていても飽きないわ。
私はそれらの標本の中央にある、一つだけ中身が空のケースに右手を当て、感慨にふける。
――その時だった。
「お嬢様、そろそろ夜会のお時間です」
侍女のアレハンドラに声を掛けられ、すっと現実に戻された。
「ええ、今行くわ」
「……相変わらず、圧巻の光景ですね」
無機質な表情で標本を見つめながら、アレハンドラが呟く。
「うふふ、そうでしょ」
本心ではどう思っているかはさておき、そう言われるのは悪い気はしない。
さて、今日は大事な大事な夜会。
気