「怖そうで怖くない」や「もっとまじめなホラーを書こうとした」など、小説概要に怖くなさそうな要素がいっぱい(笑)の本作。
もちろん、軽い気持ちで読みはじめました。そうしたら……最後の最後にゾッとしちゃった。。。
この最後の「こわっ!」と感じた点を基準に改めて全話を思いおこしてみたら……なんか全部の話がそういう意味では怖かった気がします。
とはいえ、王道路線の怖さとは一味違うので、ホラー苦手という方やお子さまでも楽しく読めるお話です。
昔話にあるような不思議な話をサクッと短時間で読みたい人に特におススメの一作。
コメディーやホラーは、作家の力量がはっきり出やすいジャンルです。この話の流れだと先の展開はこうなりそうと読者が察してしまえば、一気に面白みが下がってしまいます。本作はそんなコメディーとホラーを掛け合わせた、怖そうで怖くない少し怖いホラー。丑の刻参りや肝試しなど、怖い話定番のものや不可解な体験が収録されています。
面白さも怖さも両方取りに行って大丈夫かと思われた方もおられるかもしれませんが、これが天才的に合わさっているのです!
コメディ枠がないからホラーのジャンルに入っている話と、油断されてはいけません。合わなそうな掛け合わせに、時間が溶ける怪奇現象が起こってしまうかもしれませんよ。
ホラーではありますが、タイトルの通り怖さが全面に出ているのではなく、コメディ寄りの描写の多いオムニバス短編集です。
ユーモアと恐怖というのは相性が良い、というのを常々思っているのですが、それを再確認できました。
「笑い×ホラー」にも様々なタイプがありますが、
この作品は、ホラーという舞台を用意し、そのホラーの「お決まりの展開」を独自の視点から面白可笑しく捻って、思いもよらない結末へ導いてくれます。
ラストに「オチ」「どんでん返し」のあるショートショートのような面白さもあり。
そのため、最後のオチを見たい、というのが作品の吸引力にもなっていました。
また、心霊現象を扱いながら、心霊現象自体は作中でもあまり「怖いもの」として描かれてはいません。
むしろ全く別の意外な部分の「怖さ」が示され、作品の妙味に繋がっていました。
読み手が恐怖を感じると言うより、心霊現象よりも別の部分に「怖さ」があることのおかしさが、作品のユーモアに繋がっています。
文章が、軽めの一人称であったことも、読みやすい理由の一つでしょう。
毎話毎話、するする読んでラストまで辿り着き、ああなるほどと腑に落ちて終わる、というふうに綺麗に構成されていたのも魅力です。
個人的には、1話目の「丑の刻参りをしたいけれど」が好きでした。
1度オチがあり、さらにもう1つオチが来る、という二段オチ構成で、非常にお上手に作られていました。
語り手の祖父の直面する問題も、「確かに」と思えるもので、そこからの行動、その行動の結果が、どれも面白く上質なショートショートとして機能していると思います。
「呪術の返し方」も有名古典落語を上手く利用し、なるほどと思えるラストに導いていってくれます。
ラストの一文に、少し背中が寒くなるような気がするのも、笑いからの寒気という良い塩梅で描かれていました。
コミカルな文章とユーモア、ひねりの効いた展開で楽しませていただきました。
ホラーと言いますと、「怖い」イメージが真っ先に頭に浮かびますが、こちらの作品は一味違います。
全九話(あとがき含む)で構成されています。題材は肝試しやメリーさんなどメジャーなお話が出てきますが、その全てにクスッと笑えるギャグがバランスよく入っています。
怖いだけではなく、ギャグ要素もある珍しい作品なのです。
各話、1000文字以内で読みやすく、どれも面白いですよ。
最後のあとがきには作者様の作品を作るまでの過程や、本当に怖いものはなんなのかも知ることができて、より作品を理解できるのではと思います。
ぜひ、怖さと笑いの両方を楽しんでみてくださいね。
怖そうで怖くない。そうタイトルで謳っているのだ。
確かに、読み進めてみれば、いわゆるオカルト的なホラーは感じないように思えるし、むしろ滑稽に感じる。
しかしー……
呪う相手の髪の毛がないからと言って育毛剤まで用意したりだとか……
自分の世界で他の人間はモブキャラだと平然と言い放ったりだとか……
よくよく考えればこれは確かに「怖い」のだ。
ああ、違う。「怖い気がする」のだ。
そして読み進めていくうちに、この不思議な感覚に「ハテ、怖さとは一体なんだっけ?」
と考えてしまい……
後書きの最後で、作家先生からその怖さの正体を教えていただける。そういう構造人なっている。
そして読み終わった後に気がつくのだ。
ああ、確かにこれは、ホラーであったと。
ご一読を。
怖そうで怖くないホラーを集めた短編集です。
もうね、作者様のお優しい人間性が溢れ出ているかのように、全年齢の読者様が楽しめるホラーになっています。
「いやいや、それは怖いから!」
っていうのもあるんですけど、過激な表現は一切ありませんからお子様が読んでも大丈夫。
作者様は児童書の書籍化作家様として活躍されていますから、そういう配慮も徹底的になされているのですね。
でも、ラスト、『あとがき』は油断しているとどーんと落とされます。
「いやいや、これあとがきが一番怖くない!?」
ってなります。
なので、油断しきって読んでいると恐怖に震えますよ(ニヤリ)。
いやもうタイトル通りです。
なんかこう、怖そうな感じで始まるんですよ。だけど、全然怖くない。
なーんだ怖くないじゃん、って油断していると、たまにピリッとくる。
何なら一番怖いのはあとがきのやつです。
どうでしょう、これくらいのピリッとする感じのホラー、皆さんも一つ二つあるのでは?
私は、そうだなぁ。行ってらっしゃいって送り出した後で居間に子ども達の筆箱を発見した時とか、今日提出するプリントが置いてあった時なんかにぞわっとしますね。お母さん、夜のうちにしまいなさいって言ったよ?
怖いのが苦手な方も楽しく読めちゃうホラーです!( σ´∀`)σ