オスカー

 

僕は死んだ。もっと具体的にいうと、ガンで死んだ。

病室の角で家族に囲まれて死んだ。

目に光が差し込んで、眩しい。反射的に目を瞑った。

僕が行くのは、"天国"、"地獄"のどっちだろう。


僕は目を開けた。さっきは眩しかったのに今は暗い。

あれ?おかしい。体がない。というか、空間そのものがない。だけど、考えることはできる。どういうことだ?でも、とにかくわかっていることは、僕は死んだということだ。


うーん。見えていないだけで、僕の他にも誰かいるのか?うーん、わからない。とにかく、今は家族に会いたい...


あれから、どのぐらいの時間が経っただろう。

すると、なにか光った。待て、僕がそれを確認できたということは、僕には目があるということだ。


何分か経った後に黒い空間が現れた。僕の体が見える。よかった。体はあったみたいだ。

あたりを見ても、黒いのに、体がはっきり見えるのはなんか不思議だ。


1時間ほど経った後、白く発光する球体が現れた。大きさが3cmほどで、空中に浮いている。(僕の膝くらいの位置)僕はその球体に軽く人差し指で触れた。すると、別次元に飛ばされたかのように、空間が青色に変わった。

すると、急に頭痛が起きた。僕は頭を抱え込んでいると、脳内に記憶のない映像が流れ込んだ。


うん?これは..."穴"だ。ただの穴。どういうことだ?

映像が切れた。意味がわからない。意味がわからなすぎて怖い。


すると、まともに考える暇もなく、別の映像が映った。看板がある。その看板には『これを見ている僕よ。これは空想だ。何も存在しない。君も、家族も、何もかもが存在しない。何もない空間で、君の空想が始まった。そう、君が死ぬ前にいた、宇宙の始まり、"ビックバン"だ。でも、ビックバンも存在しない。君の空想が始まると、そこで初めて、"世界"が生まれる。』と書いてあった。___

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