君にどうしても逢いたくて ⑤
私はGW初日に2時間程の時間を掛け、彼の住まう街へとやってきた。自分自身の目で確認しないと落ち着かなかったからだ。藁をもすがる思いで見知らぬ街中を駆け巡った。当然泊りで来ていた訳でもなく、夕方頃には帰らなくてはならない。帰る予定の電車の時間近づくほど焦りが生じた。息切れも激しく、足ももうパンパンだ。ただでさえ右脚には古い傷痕があるので、既に限界を超えていた。動きやすい靴で来たとはいえ皮がめ捲れてるようで、おそらく出血もしているのだろう。つま先がジンジンする。
もう時間的にも体力的にも限界…… そう諦めて駅に向かう途中だった。
駅から少し離れたところにあるスーパーからエコバッグを肩から下げた男の子とすれ違った。その時、駅に向かっていた私の脚が自然と止まってしまった。気づけば頬には涙が伝っていた。
─── み…見つけた!! ───
彼だ、彼に間違いない。一瞬しか見えなかった顔だが、近くで見るのは8年ぶりとはいえ見間違えるはずもない。以前見た時より少し陰りは残っていたものの穏やかな顔つきになっていて、心の底から安堵した。間違いなく、彼はこの街に居たのだ。
それから自宅に帰った私は家族に相談し、転校したいと申し出た。当然両親には反対されると思っていたのだが、驚いたことに許してもらえた上に家族全員で移住することになったことには驚きだった。さすがにお父さんだけは仕事の関係ですぐには一緒に住めないということなので、しばらくは単身こっちに残るということになったのだが。
高校1年の夏休み、ついに彼のいる街に引越しとなったのだがその翌日、風音の従妹である
だから、今度こそちゃんと彼と向き合うのだ。ゆっくりと……
佐藤先生からの合図があったので、ゆっくりと前扉に手を掛け彼のいる教室へと入っていった。さっきまで騒いでいた教室とは思えないほど、静まり返っていたので緊張がぶり返してしまったのは言うまでもない。ゆっくりと教室全体に顔を向ける。廊下側の一番後ろの席のところで彼を見つ心が躍り、また安堵した。
ゆっくりとみんなに背を向け、黒板に私の名前を書いた。
『
もう9月だというのに残暑とは決して言えないほど暑い光が降り注ぐ日。白神雪は友達であり恩人であり初恋の人、水瀬蒼空との再会を果たすのだった。
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