第14話 日曜の合同練習(女)


(side 美音)


「ねぇ、日曜日空いてる?」


部活終わりの金曜日、タツからメッセージが来た。でも日曜は高校からの部活の友達と遊びに行くことになっている。タツからの休日の誘いは珍しい気もするけど、今回はパスかな...


「ごめーん。あたし部活の友達と練習無い日だから遊ぶ約束しちゃってるから空いてないんだよね」


そもそもあの時の事もまともに謝ってもらってないし、今はあまり乗り気になれない。あたしも怒りすぎたかなと思わなくもないけど何故かあの時は押されられなかった。昔はあんな事言う人じゃなかったんだけどなぁ... なんか中学の時も一時期凄い焦ってた時があったし男の子ってそうなのかな? でもさくっちはそんな事ない。いつも余裕たっぷりだ... なんか考えてたら悔しくなってきっちゃった。いつか絶対さくっちの余裕を崩してみせるもんねっ♪


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(side 紫)


辰巳さんからのお誘いが来てました... とても嬉しいのですがこの日は元々家族でお出かけすることが決まっていたので、心苦しいですが断らせて頂きましょう...



辰巳さんとは、中学時代の図書委員をずっと一緒に過ごして、私の見た目だけで軽薄に告白してくる他の男性とは違うんだなと感じていました。私は自分でも少女趣味の恋に恋している女の子だと分かっています。辰巳さんのことをいいなと思ったこともありますが、まだ決定的な何かというものが分かっていません... 最近は美音さんや柚月さんとはあまり話せていないようでどこか余裕が無いような気がします。暗い顔をしながら話しかけてきましたからね。


(そうだ!この前おすすめした本のことを聞いてみましょう!あの本は結構元気が出るような楽しい内容の本でしたので少しは辰巳さんの気が紛れるかもしれませんし)


「本? あー、あれね。 ごめんまだ読めてないんだ。始まったばかりの部活が忙しくてね。」


(え... この本お貸ししたの春休みだったのですが... この反応的にあまり興味無いものだったのでしょうか... )


中学生の時は辰巳さんの方から本を読みたいと言っておすすめを聞いてくれたりしたので、楽しかった思い出があるのですが... なんだか最近少し変わってしまったような気が... あまり考えすぎても仕方ないですね。辰巳さんに寄り添ってお話を聞いていればきっとまた優しい辰巳さんに戻っていただけるでしょう。


(さて... そろそろ課題を頑張りましょうかね)


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(side 柚月)


「じゃ そろそろ寝るね」


「あぁ 楽しかったな おやすみ」


「うん またねっ」


(初めて友達とゲームできたなっ 楽しかった)


夢中でやってたので気づけば飲み物が無くなっていた。下に降りてリビングに向かうと当然のように誰もいない。もう0時近くなのに。


(今更もう何も思わないはずなのに。 さっきまで楽しかったからかな)


寝る準備を済ませ部屋に戻り、スマホを開くと渡辺くんから連絡が入っていた。 日曜日になにか誘いたいらしい。特にやることもないのでとりあえず空いてると返そう。


「何してたんだよこんな時間まで。まぁそれはいいんだけどさ、日曜日に叡山高校のサッカー部と合同練習があるんだ。盛り上がりそうだし最後は試合みたいなのもするだろうからさ、来ない? 楓も来るからさ!叡山のサッカー部に行ったけどあいつも上手いしきっと柚月が来たら喜ぶと思うんだ。」


はぁ 別に私が何をしてても関係ないでしょ...。それにしてもサッカーの練習か。中学の時は帰りにたまに紫や空いてたら美音とも見たことがあったっけ。というか楓?って人は誰だろう。女の子みたいな名前だけど。


「え?! 覚えてないの? 僕らの中学時代にサッカー部に居た足の早い奴だよ。柚月にも声掛けてきてたと思うんだけど。」


(あ 思い出した。よく分からず告白されたから断ったけどしつこく話しかけてきた人がいたっけ。よく知らない人とは付き合わないって断り方がよくなかったと学んだ人だ。その後も永遠に話しかけられるし渡辺くんの友達だからととにかくしつこかった)


そんな人がいるのに私を呼ぶってどういうことなんだろ。でも一条くんはサッカー部に入ったんだよね。ちゃんとサッカーやってるところ見れてないし、彼も来るなら見に行きたいかも。


「そ、そうなんだ... 一条くんは来週から参戦だから来ないと思うよ。」


なんだ。じゃあいいや。渡辺くんのサッカーは見たことあるし、その楓って人とは別に会いたくない。私は特別サッカーが大好きな訳では無いし。頑張っててすごいなとは思っていたけど、家に帰りたくなくて見てたことも多かった。またの機会にしよう。


「そっか。じゃあ行かない。 また誘って」



そして迎えた日曜日。朝10時頃なのに家の中が騒がしく、その声で柚月は目が覚めた。


「あなたはいつも外で何をしてるのですか!!柚月をしっかり見ておいてといつもいつも言っているでしょう!?」


「毎度毎度うるさいぞ。私だって仕事が忙しいんだ。あの子ももう子供じゃないんだ。何を気にすることがある。俺はもう行くぞ」


(またやってる... そもそも私は2人に面倒見てもらった記憶なんかない。私を育ててくれたのはおばあちゃんだけ。)


私の家はどうやら政略結婚らしい。一条くんの家ほどの名家では無いけどそれなりの規模の医者の家系で、この地域の地主の一家の母と結婚したと聞いている。この一夫多妻の風潮が母は好きではないらしく父に他の妻を娶らせないようにしていたらしいがその束縛が厳しく父は私が記憶のあるうちからほとんど家に寄り付かなくなった。そんな父に母も愛想をつかし祖母に私を任せて小さい頃から遊び歩いていた。外聞が悪いから離婚しないだけだ。おばあちゃんが亡くなるまではずっと一緒に居てくれた。そして、おばあちゃんが亡くなってから、私は泣かなくなった。だから私は他人に期待しないし興味を持たなくなった。好きなのは中学にできた2人の親友とおばあちゃんだけだった。渡辺くんは話しやすかったけど別にそれだけだ。最近はあまり話していないし。


(一条くん... 何故か私の心にスっと入ってきてくれた人 何故か分からないけどあなたと話すのは楽しい。 朝から嫌なもの見た またゲーム付き合ってくれないかな)


母親も家を出ていったあと、適当にご飯を出前で頼み、気分転換にシャワーを浴びて1人でゲームを始めたけど、全く楽しくない。迷惑かもしれないけど今日はやっぱり一緒にゲームしたい。


「今日暇?ゲームしない?」


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いつもは結構早く連絡くれるけど、今日は全然返ってこない。誘い方が素っ気なすぎたかな。でも、上手く誘うことも私は出来ない。 なにか忙しいのかな...


「すまん見るのが遅れた。今日は部活だったんだ。今から帰るから帰って飯食ったりしてからならいいぞ」


(返してくれた... え?今日部活出てたの? 渡辺くんは来ないって言ってたのに... でも一条くんはその話を知らないから嘘をつく理由もないだろうし。 意味がわからない...)


でも部活で疲れてるはずなのに帰ってから付き合ってくれるらしい。申し訳ないと思うけど今日は甘えさせてもらおう。それとは別に渡辺くんには一言言いたい。今日私が誘ったのは私の都合だから一条くんは悪くない。でも、部活に行くことを知っていれば外に行くことも出来たし、渡辺くんが正直に教えてくれればよかっただけ。あの時助けて貰ってからあの人が一条くんを意識してるのはいくら私でも何となくわかる。視線を感じるし、話しかけづらそうに話しかけてきたりもするから。別に私はあの時のことを悪いとは思ってない。でも、今回のは話が別だ。


「一条くんも部活来てたんじゃん。 今私も聞いたけどなんの嘘なの? 別にもうどうでもいいけど」


(少しきつい言い方になってしまった... けど、別に後悔はしない 少し反省して欲しい)


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一条くんから連絡が来てからしばらくして、VCがかかってきた。ようやく一緒にゲームができるっ


「すまないな 待たせた」


「ううん... 大丈夫 逆にごめんね...」


「ん?何かあったか?」


「え... なんで...?」


「まぁ、また苦手なゲームの誘いをしてきた事もそうだが、なにか元気が無さそうなのでな。気のせいならいいんだが」


(あなたはそうやってなんでも知ってるんだね。そしてそれを押しつけもしない。そこがとても嬉しいし、ありがたい。)


「...ううん 大丈夫 ありがとうっ 早くゲームしよ?」


「そうか じゃ、早速始めるか! 今日は体を動かしたあとだからな、いつもよりキル数を稼げるはずだ」


「...ふふ なにそれ 関係ないでしょ?」


「その調子だな とりあえず楽しもう」


(... ありがとっ)



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ご覧頂きありがとうございます。


どうも我らが渡辺くんは間が悪いのとデリカシーがないためチマチマと地雷を踏み抜いていきますねぇ( ᐙ )ゲヘヘ


この後は皆さんお待ちかは分かりませんがあのキャラが登場です(˙𐃷˙)


お楽しみに(o・・o)/~

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