第2話 方程式

────第2試験会場


そこには、500人ほどの男女が目に光を無くしながら突っ立っていた

「恐らく、第一試験を勝ち進んだ全員が集結させられている」

リリーフが周りを見渡しながらディストピアに声をかける

「うん、全員が俺たちみたいな合格の仕方はしてないだろうね、目に希望がない」

全員がリリーフやディストピアのように目に光を宿しているわけじゃない、むしろ目に光が残っている方が異常者のように見られている

「お前ら……どうやって勝ち進んだ」

一人の白髪の男が声をかけた

「俺たちは名乗ったら合格だったよ、拍子抜けだ」

リリーフがペッ何事もないように吐き捨てると、白髪の男は笑い始めた

「カッカッカッカ……そうかよ。シリウスはそんなやり方をしたのか」

白髪の男が教卓の前に立つ

「もしかして、あの白髪。試験監督なのか?」

ディストピアがリリーフに声をかけると、リリーフはマズイと顔を顰めた

「大丈夫だったか……?今の言葉使い」

拍子抜けだなんて抜かした!!絶望的だ


「どうもー、第二試験監督になり

ました「グレイ・カーネリアン」と申します」


グレイ・カーネリアン

その名は物好きぐらいしか聞いたことがないであろう特に有名ではない隊員だ。

現にリリーフもディストピアも顔を見た時点で監督だと察しなかったし、オーラも無かった。


「第二試験はちゃんと決まっている。第一試験のように監督の気まぐれで決まるクソゲーなんかじゃない」

第一試験が運ゲーであることを今知った試験者は怒りを露わにする

「ふざけんなよ!!さっきの試験で死んだやつはどうするつもりだよ!!」

「そうだ!こっちなんて俺ら以外全員死んだぞ!!」

ポリポリと頭をかき困ったようにため息を着くと再び口を開く


「この試験を受ける者は10000人いる。その中で今いるのは500人。」

10000人の試験者を10個に分け1000人で1つのグループで最初は試験を行ったようだ

「わかるか?もう9500人脱落してんだ」

リリーフはその言い回しに違和感を感じた

「なんでそんな言い回しをする?死んだと脱落は違う……曖昧な表現をするということは」


隠したい?


不当な殺害や理不尽を隠蔽しようとしている?

「うるさいうるさい。第二試験はサッカーだ。適当に11人でチーム作れ。残ったものは脱落だ」

唐突に吐き捨てられ、カーネリアンは部屋に戻る、すると機械的な大きな音とともにゴールが出現する。ボールが飛んできたと思ったら、全員が血眼になりチームメンバーを招待する

「俺のチームに来てくれ!!俺は中高でサッカーやってた!」

「俺なんて父親はプロ選手だ!」「サッカーの才能あるって授業で言われた!」

いい訳がましいことを叫びながら道行く周りの試験者全員の腕を掴み無理やり半強制的に誘い込む

そんな中

「俺のチームに来てっ……ぐあっ!!」

一人の男が黒髪の女を誘おうと腕に手を伸ばすと膝を思い切り顔面に食らわせる

「豚、触るな」

その女は吐き捨てるとディストピアに近づいてくる

「貴方、色は?」

ディストピアは困惑した、唐突に色を聞かれた。しかもなんの色を聞いているかも分からない

「色って?」「色はいろよ。答えなさい」

髪の色のことか?目の色のことか?爪の色のことか?まるで理解もできないし予想もできない

「お前は何色なんだ?」「私は黒よ」

髪色のことであろう!と察したディストピアは口を開いた

「俺は金だ。」

すると大笑いをし始める

「あーはっはっはっは!!!まさか言うとは思っていなかったわ!」

唐突な高笑いに更に目線が集中する

「失礼。私の名前は「スクリーン・エクスプローラー」チームを組みませんか?」

「お、おう!俺はバーンアウト・ディストピアって言うんだ!」

するとエクスプローラーは急に抱きつく

「うぇ!?さっきからなんなんだよお前!」

リリーフも周りの全員も何が何だかよく分からずに話が進んでいた

「そこのイケメン!あなたもチームに入りなさい!」

するとリリーフに手を差し伸べてチームに勧誘する

「え?俺も?」「そう俺も!」

結局なんの色のことかは分からなかった、チームを組み11人のグループを作った。

脱落者は涙を流し、その場を後にした


────第二試験サッカー場


「第一試合。チームA対チームF」

俺たちがいちばん早く作られたチームだからAとなり適当なチームをエクスプローラーが指名して勝手に試合が始まった。


リリーフは困り果てた表情で頭を抱えながら

「あー、無茶苦茶だ。」

ディストピアが背中を叩き慰めるように顔を覗き込ませて言う

「まぁいいんじゃない?これで進めるならさ」

「進めるなら、な!」

進める保証などどこにもないのにどこに安心する要素があるというのだ

ディストピアも薄々勘づいてはいたが、ここは指摘した方がダメだった気がした

時は戻せない、この状況を上手く利用して進むしか道は無いな

ディストピアは自分勝手だが仲間思いだった

リリーフを連れて何とか今の状況を利用して先に進もうと考えていた。


GAME START!!!


何が何だかの状況でゲームが始まった

「サッカーなんておかしいと思ったら今すぐやめていいぞ〜そいつは脱落だ」

審判をしているカーネリアンがそう声をかけた

「サッカーは周りを瞬時に見渡す視野と反射神経。そしてシンプルな運動神経が求められる最高のゲームだ」

言い分に納得したお互いのチームは他の478名に見守られながらスタートした


「よっしゃ頂き!」

エクスプローラーがボールを取るとゴールの前に一直線にかけてゆく

「ちょっとちょっと!?こんなに開けていいの?」

エクスプローラーには不自然に感じるほどに道が作られていたように感じた。

ゴールまで誘われているような


小声でカーネリアンがにやけながら言った

「そうだ。最後に必要な能力は」


『頭脳』


「戦略が状況を一変させる!!!」

エクスプローラーに1人の赤髪の男がツッコミファールギリギリこところでボールを奪った

「なっ!?」

「馬鹿野郎が!!素直にゴール渡すかよ!」

赤髪の男の名は「バリア・シャワーズ」

高校サッカーじゃ常連のように名前を聞く有名人であった

「俺は小学校の頃からサッカーをやってた!ディストピアハンターに必要な能力を鍛えるためになァ!!」

エクスプローラーが引きつった顔でボールに走り出す

(マズイ!!私以外にまともにサッカーが出来そうなやつはいなかった!適当に選ぶんじゃなかった……!!!??)

エクスプローラーが諦めたその瞬間に、1人の黒髪の男

「何諦めてんだよ自分勝手マンカス!!」

タックルをするかと思うと足をずらしファールにならないようにつまづいたように審判にみせた

そのシャワーズが体制を崩した瞬間にボールを奪いエクスプローラーにパスを渡す

「大将が最初に決めてくんなきゃ士気も上がんねぇよ!」

エクスプローラーが笑い涙を流す所をグッとこらえてゴール前まで向かう

足をボールに振りかぶりシュートをする主人公のシーンを、1人の女は引き裂いた


「お疲れ様。引き立て役になってくれてありがとうな」


バーンアウト・ディストピアは異常者であった。それを1番わかっていたのはリリーフだった

「リリーフ!?ディストピア!?」

リリーフが後ろをディストピアが前を囲むようにエクスプローラーの道を絶った

「なに味方どうしで潰してんだよ!!」

黒髪が叫ぶとリリーフが振り返り

「味方をも利用する。それがディストピアだ」

黒髪はそのガチな表情に心底驚いた、呆れた

「嘘だろ……異常者共が」


デリリーフが盾になり審判に見えない状況で呟く

「エクスプローラー。マンカスは黙って地べたに這いずってろ淫売が。」

顔面に肘打ちを食らわせてボールを奪い、その光景が理解出来ていない状況のゴールキーパーを利用してシュートを決めた


「第一試合!勝者。チームA!!!!」

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BURNOUT DYSTOPIA 物狂響響 @Tooooooooki0506

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