悲報

とはいえ途方に暮れているだけでは何も始まらない。取り敢えず研究所を出てみることにし…出て…出…開かねぇ!ってかこれさっきも見た!

はい扉バキバキバキっと。

…これ損害賠償とか請求されないよな…大丈夫か。ロボットは無生物だから監督不注意だろうし。いや監督は死…うん、寝てるだけだから起きたら地獄だろうね!実際に地獄に行っている可能性は考えないものとする。


あっれ、おっかしいな…マップによるとここは森らしいんだけど…どう見ても更地…

うん、目を擦っても更地だ!見間違いじゃねぇ!

どうなっ…え?燃え滓…?あー、これ焼け焦げた木だ。

え、もしかして森全焼した?あの…マップによると3キロほどあったはずなんですが…えぇ…

というかこれ絶対敵だよなぁ…あんな惨状でこの様子だし…取り敢えずロボットアイ!近くに人間はいるか!?

…うん、いない!完全に無人!取り敢えずロボットアイの人間レーダーで近くの街まで行こうかな。えーと、一番近いところは…

あっここから10キロ以上先…ゆっくり行くか…


えー、この世界ロボット兵器がウヨウヨ徘徊してる。生体センサーに引っ掛からなかったから気づかなかった!ごめん!ゆっくりなんていけねぇ!!

目の前の鉄で出来たサイ。身体中が錆ており、歯車や蒸気の噴出口が見えてて趣があるぅ…じゃなくて!


ドドドドド


緊急回避あっぶない!処理を開始しますぶっ殺すぞ!


あーもー、めんどくさいってこれ!

右手に力を入れ、銃モードへと変形させ、相手へと構える。


対象執行やってやるよオラァ!


右手に装填されている弾はフルマックスの千発。大体機関銃2丁分の弾数だ。それを一気に発射する。


バララララァ!!!


ちょっ、まっ、反動ぉぉぉ!!?俺は地面に転げ落ちた。


いやー、プレミプレミ。反動のことなんて考えてなかったわ。そうだよだってリアルだもん。思いっきり吹っ飛ばされるよねそりゃ。


「…」


ロボサイ君はちょっと待ってくれない?君俺の銃弾の雨、全部その体で弾いたじゃん!ハンデくれよ!こっちは人型貧弱ロボなんだぞ!


シュコー…ドドドドド


あっぶない!2回目だってこれ!っていうか弾無効って何だよ!ゲームと違ってこっちは弾に限りがあるんだぞ!損害を補償しろ!


武装起動これでも食らえ!灼焔吐出口内砲!


正式名称カッコよ…じゃなくて!熱を放つこっちの攻撃なら効くんだな!攻略法さえわかればどうってことないぜ!


まずいぜ!エネルギーがなくなりそうだぜ!

調子乗って打ちまくってたらエネルギー残量がもう10%しかないぜ!だが!サイも満身創痍!


対象焼却これで終わりだ!、灼焔吐出!」


体内で圧縮された熱が銃身を通り口内から発射される。幾度と攻撃を与えてきた鉄サイの表面のプレートがドロリと溶け、歯車や精密機器に熱炎が伝わる。ここまで来たらもう相手は動けない。知らんけど。いやごめん、本当に動かないで?


「……」


ドォォンという轟音と共に鉄の巨体が倒れた。セーフ!!ギリギリ、セーーーフ!!!俺の勝利じゃ2度と歯向かってくるなよ!バーーカ!!

じゃあ取り敢えずまた移動し…


ガシャン


突如体が動かなくなり地面に倒れる。あークソ、エネルギー切れだ。マジか3%しかねえ…だぁー!ここで倒れても意味ねぇって!

俺は最後の希望を込めて残ったエネルギーを全て使い灼焔吐出を空へと放つ。取り敢えずこれが目印になって誰か人が…来て…く、れ…



「あー?何だこりゃ」


男はそんな言葉を溢す。輸送屋である彼は反帝国派へと様々な物質を運ぶ役割を果たしている。彼自身帝国には反対派であるし、この仕事が前職よりも性に合っていると心中でそう感じていた。

故に、本来であれば救命弾など出ようが向かわないはずであった。つい先週には帝国が反帝国の研究所を発見して壊滅させたのだ。近くに帝国軍がいる可能性がある以上、自分が見つかってしまうのはリスキーでしかない。

が、タイミングが悪かった。わざわざ帝国軍がいたであろう森林を迂回してきたというのに目の前から救命弾が打たれれば否が応でも自身の存在も帝国側に捕捉される可能性があった。で、あるならば2発目が出されるより早く助けたほうが早いと踏んで彼はアクセルを踏んだのだ。

だが、


「ラノフェルム、だよなぁ…鉄害が救命弾なんて出すわけないし一体誰が…?」


救命弾を打つ要因となったはずの鉄サイラノフェルムが倒れている。ラノフェルムは鉄の神タジュアの産廃だ。討伐するには多くの人員を要する。

思案しながらもラノフェルムの周りをぐるりと回っていると


「あ…?人…じゃねえなこりゃ人形兵器か?」


ラノフェルムの巨体の影に隠れていた人形兵器。仰向けに倒れていて口元が変形している。わずかながら熱を帯びているところから先ほどの救命弾はこの人形兵器が撃ったのだと男は察した。

人形の体を確認した男は口角を上げる。


「とんだ収穫だ」


そう呟くと輸送用のトラックの荷台へと人形を投げ入れた。



……ん?

目が覚めると目の前に映ったのはフローリングの地面だった。


…システム起動、エネルギーが戻ったのか?


残量を確認すると100%満タンだ。詰まるところ誰かが俺のことを助けてくれたということになる。


「…!」


そして俺の強化された聴覚機関が何者かがこちらに近づいてくる足跡を検知した。敵の可能性も捨てきれない、そう思い右手を後ろに隠し銃身を展開しておく。…弾抜かれてんじゃねぇか!そりゃそうだよな!


キィィィーー


目の前の扉が開き、足跡の主が入ってくる。


「おっ、起きてたのかい。初めまして私はドクター。しがないヤb…ゴホン!医者さ!」


そう言い入ってきたのは白衣を着たどう見ても15歳くらいがいいところの少女。

…ってか、コイツヤブ医者って言いかけたぞ。



「なんか光ったねぇ」


「光った光った」


「面白そうだし見にいってみようか」


「行こう行こう」




※おまけ

現在の主人公のギミックPart1


ロボットアイ:視界に映ったものを即座に分析!危険な物質や生物を自動マーキングしてくれるぞ!体温感知機能や望遠機能付き!


灼焔吐出:口から銃身を展開し、熱エネルギーの塊を発射するぞ!ただし自身の体内エネルギーを消費するので要注意だ!


噴出機構:足裏から蒸気を噴出させて高く跳躍することが可能!最低でも3メートルは余裕で飛び越えられるぞ!

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