プロトコル改
■■■
起動
「……」
目が覚めると薄暗い部屋だった。咄嗟にどこだと声を出そうとしたが俺から出たのはブーンと小さく鳴る駆動音だけ。…駆動音…?
自分の体を確かめると明らかにかつての体ではないことがわかった。…転生か、などと頭の中で整理をし自分の体の確認を続ける。
…嘘です頭の中で焦ってました盛りました。
てか、声が出せねぇ!え、ちょっ、声出させて!!あー!あー!!!!
皮膚を摘んでみるが、痛みがない。そして、物凄く伸びる。伸縮性が異常なほどに。
え、怖。
…いや、これ人間じゃないのか。俺もしかしてロボットとかサイボーグになったのか?
腕を閉じたり開いたりすると僅かに金属の掠れる音がした。よく見ると掌や腕に沿って細く切れ込みが入っている。
…これもしかして何かギミックが仕込まれてるのか?そう思い、手を開く力を強めてみる。すると、ガシャンと切り込みが開き、内部から金属の筒が展開される。言うまでもない、銃口だ。
え、怖(2回目)
いやでもそれ以上にロマンがあるな!ギミック変形とか興奮ものだろ。いやまあなぜか声を出せないんだけど。
あれ、でも腕の切り込みの方で開いてないやつがある。あれ、もしかしてこれ第二形態とか…?
銃を引っ込めるようなイメージで力を入れるとガシャンとさっきは開かなかった切れ込みが開き、重心が引っ込むと同時に鉄製の鋭い刃が出てきた。ブレードモードだっ!!カッケェ!
ちょっと待って!?足にも何なら胸とかにも切れ込みがある!これ全部変形するんじゃ!?
テンションが上がりに上がった俺は自分の体のチェックを始めた。
数時間、いや内蔵されてるタイマーで2時間32分が経過した。
やばい。俺の体無限に楽しい。
まず顔。鏡で見たら量産型の男とも女ともどっちとも取れる中性寄りの顔にデザインされている。
そして、眼だ。動いた対象や近くの銃火器、生物、危険物なんかをオートでマーキングしてくれる。あとタイマー、温度計、湿度計、自身の体の状況度の表示もある。便利ー。
鼻は特に目立った機能はなかった。この体、嗅覚がない。いやロボットだから当たり前なんだけど、匂いを感じることができない体になっていた。
耳も眼ほど特徴的な機能はない。機械となったことで微細な音や超音波を拾えるようになったことくらいか。耳がすごく良くなったくらいの認識である。
そして口。ヤバいです。
身体チェックしたら口内というか喉の部分に声帯装置が取り付けられて喋れはするらしいが、外部からのロックがかかっているため喋れないんだとさ。クソが。
それはともかくとして、口の周りにも切れ込みがあったので思い切り口を開けてみるとガシャンガシャンと口内で音がし、口から巨大な銃砲が出現した。かっこいい。
そしてこの口内砲(仮)、どうやら弾ではなく体内で凝縮した熱エネルギーを飛ばすらしい。
体は普通にコアとかメンテナンス用のハッチだった。開いたら眼前に各部品の詳細情報が大量に出てきて頭が痛くなった(気がした)ので速攻で閉じた。
メンテナンスやらの時に確認しよう。うん。
腕は言うまでもなし。先ほど言った機能、銃モードとブレードモードの他に、掌に弾を乗せて握り込めば切り込みのところから弾が内部に侵入しリロードされるシステムも見つけた。つんよ。
足。足には特殊な攻撃用の武装はなく、完全に移動特化のギミックが仕込まれている。両足に飛ばすことの可能なワイヤーフックが2本ずつ、刺さった箇所からフックを広げて確実に抜け落ちないような仕組みも施されている。加えて蒸気を用いた噴出跳躍。天井の問題で確実かはわからないがとりあえず3メートル程度は余裕で飛び越せるようだ。
とにかくここまで俺の全機能を確認して気づいたことがある。これ、俺絶対兵器ですやん。うん、ついでに周りの散策もしてみたけど俺と似たようなロボットの残骸が大量に散らばってたからね。ビックリしたよ。このロボットアイ(仮)が無ければ死体と間違って吐いてただろうね。まあ吐けない体なんだけど。ともかく、兵器なのは間違い無いだろう。
取り敢えず…奥にある扉を開け…
ガチャ、ガチャガチャ
開け…あかねぇ!
イラついて思い切り引っ張ると扉が壊れた。流石ロボット。さすロボ。
ドアを開けると奥はモニターが大量にある部屋だった。そして椅子には頭から血を流した死体が…ん?死体?
死体だぁ!!!!?ヤバい!グッロ!え、グッロ!!あ、でも悲鳴出せねぇ!この体不便すぎるだろ!
落ち着いて考えてみれば気絶しているのかもしれないと思い立ち、見て見ぬ振りをした。いや多分そんなことないけど。スキャン結果死体って出てるし、確認したら瞳孔かっぴらいてたけど。うん、気のせい気のせい。
ディスプレイを確認するとさっきまで起動していたのか、パスワードを打つ必要もなくロボットのシステムソフトを開くことができた。を?誰かにいじられた痕跡…そんなんもわかるんですか私のロボットアイは。流石じゃないっすか!(前言撤回)
兎も角、ソフトをいじっていると発言の項目を見つけたので片っ端からオンにしてみる。喋れるようにしてくれぃ!
「あー、あー、
ん?
「
発言が矯正されるんだけど!?いや言論統制よりかはいいけど!ですます口調でしかも機械的な応答しかできないんだが!?ちょ、これ発言権もっと上げれないの…クソッ上からの権限が必要なのかよ死ね!
ちょ…じゃあ、あ、周辺のマップある。取り敢えずこれ読み込んで…あれ、これ俺どうしたらいいの?
ヤバい何も情報持ってねぇぞ!
俺は途方に暮れた。
◇
「あれ主人公何もやってなくね」
「まあ一話ですから」
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