第2話

静かなBGMが流れている。


ここは高級ステーキハウス。


ウェイターが二人のテーブルに来た。


恭しくワイングラスをテーブルに置く。


「ディナーの食前酒でございます」


ふたりにワインをつぐ。


雄太はグラスを持って


「地球人と宇宙人との遭遇を祝し乾杯」


宇宙人は雄太の真似をしてグラスを持つ。


チーン


グラスの音。


二人ともグラスを傾ける。


「どう? これはワインっていうんだよ」


宇宙人はワインに口はつけたが無表情。


抑揚のない声でぼそり。


「コレハC2H5OHネ」


雄太は軽いノリでこれをさとす。


「酒がまずくなるようなこと言わないでよ。


ところで地球人そっくりに変身したじゃん」


「ムーピー系ベラ星人ダカラ簡単ネ」


ウェイターが二人のステーキを運んできた。


「特製ステーキでございます」


「ここのステーキはうまいぞ」


「生命体ノ死骸ネ」


「ったく、ミもフタもないなあ」


ふたりはステーキを食べ始めた。


雄太は舌鼓を打つ。


宇宙人は?


「どぉ。美味しいでしょ」


「蛋白33%、脂質9%、残りH2O」


「デリカシーがないなあ」


しばらくして食べ終わると


宇宙人は両手を合わせて


「ゴチソウサマデシタ」


「おっ、礼儀の勉強したじゃんか」


「イイエ。


心ヲ読メバ言葉モ知識モ


スグニ盗メルネ」


「へえ、すごいんだねえ。


で、これからどうするの」


「コノ星ノ反対側モ調査スルネ」


「そっか、調査に来たんだ」


「コノ恩、忘レナイネ。


アナタヲ不老不死ニシテアゲル」


「それはちょっとなあ。


いつまでも生きてたら


生活費どうするんだ? みたいな」


「デハ、早死ニサセテアゲル」


「ゲッ。やめてよ。


それじゃお礼にならないじゃん。


まあ、気にしなくていいから。


また遊びに来てよ」


「ワカッタ」


その直後に宇宙人はヒュンと消えてしまった。


雄太はしばらくボーゼンとしていたが


地球の代表になったような気がして


なんとなく嬉しい気分になった。


アメリカの大統領よりも


凄いことをしたんだと思うと


今まで


夢も希望もなく


その日暮らしをしていたけど


(よし何かいっちょうやったろか)


という充実した気持ちになった。


オシマイ

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謎のエイリアン X Kay.Valentine @Kay_Valentine

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