読後感が最高で、2000字ちょっとの長さで大きな満足感の得られる作品でした。
人前で堂々と告白するも、見事に玉砕してしまった主人公。それをイン〇タにまでアップされてしまい、恥の上塗りみたいな状態に。
いたたまれない気分で放課後には一人公園で過ごしていたが……。
失恋して傷心。そして気持ちを整理しきれずに公園で過ごす。このシチュエーションがとにかく「青春の痛み」を強く感じさせられます。
そんな風に「どん底」を経験していた彼女だったけれど、そんな彼女を追い詰めた「原因」が、思わぬ結果を呼び寄せることに。
小道具として使われる「あずきバー」がまたとんでもなく良かったです。勇気を出した行動は、もしかしたら誰かの心に響いているかもしれない。誰かに笑われても、別の誰かにとっては好ましいものに見えているかもしれない。
そして、最後に辿り着いた結末。もしかしたらこれは実話で、どこかの誰かの家庭では、本当にこんなエピソードが語り継がれているんじゃないか。そんなリアリティすら感じられる「ほっこり具合」にひたすら心を満たされました。
青春のほろ苦さ、そのあとに来る「あずきバー」なほんわりした甘み。「甘酸っぱさ」とはまた別の、青春ならではの味に満ちた作品でした。