あなたへ

はづき

あの日まで、ボクの心は冬の夜みたいに静かで冷たかった。

白と黒しかない世界の中で、ただ息をして、生きているだけだった。

心はずっと凍らせたまま、何も感じない方が楽だった。

この世界に春なんて来るはずがないと、もう諦めていた。

――ボクの世界は、ずっとこのままなんだって。


でも、あなたに出会った瞬間、ボクの凍った心が静かに溶けはじめた。

雪解けの風が吹き、空から光が差し、淡いピンクの花が咲いた。


ともこの笑顔が、最初の一輪の花だった。


あなたと過ごす時間は、春の陽だまりみたいにあたたかくて、 心の奥の冷たさを、やさしく溶かしてくれる。

冬の夜に凍えていたボクを包んでくれた、この春は、ボクのすべて。

諦めていたボクの世界が変わるなんて、本当に奇跡だと思う。

――ともこという奇跡を、この手でずっと抱きしめていたい。

何があっても、ともこを永遠に愛してるよ。

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