電車は海を追いかける

久藤涼花

第1話 海

私は片道2時間かかる学校まで、毎日早起きをし通っている。

正直、高校生なんて遊びと同然と思っていた時に戻りたいことがたまにある。今なんて、課題やテスト、部活それ以外にも人間関係や進路にとても悩まされている。

でも、勘違いしないでほしい。

私はただ毎日忙しいだけで、別に学校が嫌いなのではない。例えば、毎日乗る電車から見える海はとても好きなのだ。私の地元が田舎なため、電車に乗る人はほぼ決まっており混むこともない。そのお陰で、私は今日もこうして海を眺め、癒されながら学校へ向かうことが出来る。

海はとても良い。

朝は太陽が周りを照らし、それに応えるように波がキラキラと輝いている。

夕方は夕日と海が最も近くなり、当たりをオレンジ色に染めている。

空は毎日顔を変え、私に日々の変化を教えてくれる。私はこんな毎日を結構気に入っている。

でもなんだか最近私はどうかしている。

ただの登下校だと思っていたこの電車が、あの人と会うための物のようになってしまったのだ。あの人は私と同じように、毎日決まった電車に乗る。そして、最近あの人は私の隣に座り、よく声をかけてくるようになったのだ。きっかけなんてもう忘れてしまったけど、かれこれ数ヶ月はこれを繰り返している。連絡先なんて知らないから電車にいない時はとても寂しく、孤独に感じてしまう。

そして、今日もまた私は電車に乗る。

あの人と話し、海を眺め、学校に向かうために。

電車以外であの人と会えるようになる日まで、このことは隠そうと思う。海ではなく、本当はあの人の横顔を見ていることとか。


私は海が好き。

あの人と眺めるこの海が。

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