第2話 巡り合わせ
東京からこの地域に来て3年目、音羽がこの学校にいるとは思わなかった。
初めて見た時前世と変わらない快活さに言葉が詰まりそうになった。
(ここで泣いたら変な奴だと思われる、初対面の反応を…)
「あれ!久しぶりじゃーん!」
「…!?」
「え、覚えてるよね?大学生の時二人して酔っ払って○○君の…」
「待て待て待て今中学生だしなんか記憶にあるしどういうこと!?」
「なんだやっぱそうじゃん!私もね、なんとなくだけど愛羅のことは覚えてるんだよね。魂で繋がった親友って感じ〜?」
「…!こんなことって…」
「あーよかったその反応!これでえ、おま誰?とか言われたら私宇宙人みたいじゃんね!まあキャラで許せ〜?って感じだけど!」
変わってない、ほんとに変わってない。
生まれ変わったのにここまで変わらなくてもいいのか神様…
「変わってなくてありがたい笑 今世でもよろしくね音羽」
「当たり前〜。ちなみに風香もいるよ、全員前世と同じ名前なのウケるんだけど」
「え、そんなことある?」
「そんなことあったんだよね〜。愛羅じゃん久しぶり〜」
「え!いつの間に!てかほんとに風香じゃん変わんな!」
「いえーい」
そんな感じで2人と再会して3年目、記憶にあるもう1人とはまだ出会えていない。
姿形が思い出せないままだけど、きっと大切な人だったはず。
「海の家来ると夏って感じするな〜!」
「わかる〜。日焼けしたくないから海は入らないけどね〜。」
「風香は毎年それだな!今年こそ付き合ってもらうぞ!愛羅は相変わらず?」
「そうだね〜。やっぱ水辺は苦手かなぁ。遠目に眺める分には問題ないんだけど」
そう、私は何故か昔から水辺が苦手なのだ。
泳げはするし溺れかけた記憶もないがどうにも苦手。
ただ海を見ていると、何か懐かしさが込み上げて来るような、例えようのない気持ちになる。
「もう夕暮れだね〜」
「ちょっと喋りすぎたね」
「てか堤防の方とかめっちゃいい感じじゃん!ちょっと散歩しよ!」
「音羽ってば自由人〜」
そんな話をしながら堤防まで3人で歩く。
「おー!夕焼けめっちゃ綺麗じゃん!」
「えもーい」
「すごい綺麗だね〜」
「スマホ変えたばっかだからめちゃ画質いいんだよね!写真撮ろ!」
夕焼けをバックに自撮りをしていると、ふとこちらに歩いて来る同い年ぐらいの女の子がみえた。
(この辺の子かな?でも何だろう、何処かで見たことがある?同じ学校の子ではなさそうだし2人の今世での友達だったりするのかな)
「こんにちは。同い年ぐらいの子が見えたから、知ってる子かと思って来ちゃった。」
(…!!この声、聞き覚えある…!)
「…っあ、」
「んー?私ら隣町のJKだけどこんなお嬢様っぽい同級生いたかなぁ」
「…私も見覚えないかなぁ、愛羅知り合い?」
「え、とちょっと思い出せないかも…?失礼かもなんだけど名前聞いてもいい?」
「…みっちゃんって呼ばれてるんだ」
人はこれを鈍器で殴られたような衝撃、と表現するのだろう。
(…ああ、今世は覚えていないんだね)
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