王都の鉄と炎
ユウの異能は「異端」とされ、王都へと連行される。
処刑の危機に瀕するが、彼の才能を見抜いた王女レイシア・ヴァルディアにより助命され、王国鍛冶師として雇われる。
王立工房で、ユウは“理屈の火”によって従来の魔導兵器を改良し、王国の戦力を一変させていく。
しかし、平民が貴族を超えるその姿は、王国の根幹を揺るがす脅威となり、
彼を敵視する者も現れる。
中でも、王女の護衛である若き騎士ゼクトはユウを「王女を惑わす異端者」と呼び、たびたび衝突する。
それでもユウは諦めず、王女と共に「身分ではなく努力が報われる国」を夢見る。
隣国〈バルグラン帝国〉が王国の新兵器に危機感を抱き、戦争を仕掛けてくる。
ユウは前線に派遣され、魔法ではなく「科学的兵装」で戦場を支える。
だが、戦の最中に彼は知る。
帝国の兵士の中に、“ユウと同じ異世界の知識”を持つ者がいることを。
その人物こそ、かつて同じ工場で働いていた青年――佐伯リョウ。
二人は異世界で、理想と理念を真っ向からぶつけ合う。
「理屈で救える命などない」と冷笑するリョウ。
「理屈で救えるなら、どんな命でも救う」と誓うユウ。
やがて二人の衝突は、王国と帝国の命運を決める戦争の核心となる。
戦争の裏には、この世界を創った“古代の魔導装置”の存在があった。
それは、血統による魔力の差を強制的に作り出すシステム――“神の炉(ゴッド・フォージ)”。
ユウの火がそれに干渉したとき、彼の中で眠っていた“創造の刻印”が覚醒する。
それは、この世界の理(ことわり)を書き換える力。
レイシアは国を守るために王となり、ユウは“世界を変える異端者”として追われる。
彼女と敵対する運命に抗いながら、ユウは最後の選択を迫られる。
世界を焼く神の炉を前に、ユウは呟く。
「火は、破壊のためじゃない。——鍛えるためにあるんだ。」
レイシアの涙の中、ユウは自らの命を燃やして“神の炉”を再構築する。
その瞬間、世界から“血による魔力の差”が消え去った。
魔法は誰にでも使えるものとなり、
この世界は初めて“努力が報われる”場所となった。
数年後。
王国の片隅で、新しい鍛冶屋が火を灯す。
看板にはこう刻まれていた。
「アマギ工房 ——誰でも炎を、手にできる場所」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます