オフの莉奈を見た
ジム帰りのこと。たまたま繁華街に歩いていく莉奈の姿を見た。こちらには気づいてない様子である。
「どこいくんだろ」
俺は興味本位でつけることにした。決してストーカーとかそういうものではない。
ストーカーとは、特定の人物に恋愛感情や怨恨の感情を抱き、つきまといや監視を繰り返す人物を指す。そう考えると、グレーゾーンだ。俺は逮捕されるべき人間なのかもしれない。
それはそれとして、莉奈を追跡した。
◇
服屋に足を止めた莉奈は、それから数十分店に留まっていた。俺は隣店のカフェでコーヒーを頼みながら彼女を覗いている。
「はぁ……どんな服を着れば、大樹はメメさんより僕を可愛いと思ってくれるのだろう……」ブツブツ
真剣な表情をして随分と長い事悩んでいる。ていうかあの試着、かなり胸パッドが入っているような。
「これだけ盛っても……メメさんには程遠い。はぁ……やっぱり大樹も大きいお胸の方が好きなのかなぁ~」
店員さんも反応に困ってる様子である。しかし、莉奈は胸のサイズを気にしていたのか。
「確かに男の水着を着てもバレなさそうな体型だもんな」
こう考えると男装莉奈もアリだな。あっ、性癖が壊れる音がする。よしっ、同人誌にしよう。タイトルは『男装女子の愛の詩は、満開の花を咲かせて』にしよう。筆が捗るな。つくづく罪な女の子だ。
それはそれとして、何であんなパッドを……
くっ、カフェのガラス越しでは莉奈が何を言っているか聞こえない。もう少し近づいて……
近づこうとした。しかし、星宮千暁が入店したことで事態は急変する。
「決まったかコーデは」
「ううん。パッド入れても大きくならなくて絶望してるとこ~」
「そんな小細工あの男に必要ないと感じてるんだが、違うか? 思うに、俺が決めたナイスな衣装を着て、大樹に迫ればコロッと堕ちると踏んでるんだが?」
千暁が何かを言いながら、莉奈にスカート丈が短い服を手渡した。いとこになに粉かけているのだろうあの男は。
「こんな貧相な身体じゃ無理だよ~!」
「フフン、仕方あるまい。服の買い物に付き合うって言ってしまったものは。ここまできたらとことん付き合ってやろう」
ぐぬぬ、視力こそいいけど、聴力が良いわけでもないし、読唇術も出来るわけではないから、アイツらが何喋っているのか分からない。
そもそもどういう関係でここにいるのだろう。
あっ、二人が店から出ていく。後を追いかけるべきだろうか? いや、コーヒーがまだ残っている。飲んでから追いかけよう。
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