『水脈の輪廻(みゃくのりんね) - 龍を討つ、短命の刃 -』

トモさん

プロローグ:千年の因縁

暗く荒れ狂う嵐が、世界を分断していた。

​清らかな青き光を放つ水龍は、己の全てを賭けて、黒い鱗と禍々しいオーラを纏う叢雲(むらくも)と激突していた。山は崩れ、海は波打つ凄絶な戦いの末、水龍は渾身の一撃を叢雲に叩き込み、その力を奪った。水龍は力を使い果たし、光の粒となって消滅した。

​そして、叢雲も深い傷を負い、大地に叩き伏せられた。

​生き残った人間たちは、この戦いで全てを失う恐怖を知った。彼らは、弱りきった叢雲を、自らの命を削る禁呪法を用いて、巨大な「禁」の印を刻んだ岩と呪力によって、深く地底に封印した。

​「二度と、この戦いを起こさせてはならない。崩理(ほうり)など、この世界には過ぎたる力だ。我々は、この命の対価を、未来永劫忘れてはならない」

​それは、悲劇を繰り返さないという、短命の呪いを背負った九ノ会(くのえ)の祖先たちの誓いだった。

​---しかし、時は流れ、千年後。

​現代の採掘調査団が、偶然にもその封印岩を発見し、好奇心と技術の力で掘り起こす。岩に刻まれた「禁」の印は、乾いた砂のように崩れ落ちた。

​地底深くに響く、冷笑。

​「…愚かな人間どもめ。我が力は、世界を支配する」

​叢雲が、千年ぶりに闇の中で静かに笑った。封印から解放された叢雲は、力を取り戻し、忠実な12幹部を組織。人間社会の腐敗と支配を目論み、静かに暗躍を開始した。

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