第11話 掴んだかに見えた蜘蛛の糸

新歓後、俺は竹田さんに事あるごとに関水はいい奴だ、恩人だと伝えた。竹田さんはニコニコとしてそれを聞いていた。その顔を見る度に胸が痛んだ。


--大丈夫。関水だって女性相手ならきっと奴隷みたいな扱いはしないはず...

自分を正当化する様に言い聞かせた。


俺の思惑は上手く運んだみたいだった。段々と関水から呼び出されることは少なくなった。竹田と関水が仲良く話している所を見て、そっと胸を撫で下ろした。


冷たい空気の中、紅葉が鮮やかに映える季節。段々と平穏を取り戻し始めていた。そんなある日、道場に足を運ぶと幸福に満ち溢れた表情で竹田さんが皆と話をしていた。


--上手くいったのか?

俺は高鳴る胸を抑えながら輪の中に入っていった。


竹田「田中先輩、私、関水先輩とお付き合いすることになりました!」

「マジで!! おめでとう!!」

耐えきれずに涙が溢れ出た。


津田「...お前泣くの。引くわ」

「いや、嬉しすぎて」

尾瀬「理解に苦しむわ」

「違いますよ。ただ嬉しいんです!」


--やっと自由になれる!

思わず外を駆け出した。平穏を自分の手で取り戻した高揚感。この喜びを叫んでしまいたかった。


しかし、取り戻したこの平穏は長くは続かなかった...

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