第7話 悪魔の再来

それから、3日深夜の送迎は続いた。

頭にはモヤがかかり、考える事ができなくなっていた。


関水「今日はバイトないから帰っていいよ。」

「あの、バイクはいつ直る予定ですか?」

関水「来週だけど。何が言いたいの?」

「い、いえ、なんでもないです。」

俺は逆らうのが怖かった。眠気と疲労感ぐらい孤独の日々と比べればマシだと思っていた。


小学生達が外に遊びに出かける頃、自宅に着いた。そのままベットに飛び込み、気絶するように眠りに入った。


--うーーん。たくさん寝たな。もう19時かー

ふとスマホの画面を見ると一気に寒気が襲った。

画面には100件を超える関水からの不在着信があった。震える手を抑えながら、すぐに関水に折り返す。


関水「おい、お前なんででないの?」

「...すみません。寝てました。」

関水「事故とかにあったかと心配しただろ!」

言葉とは裏腹に、それは怒りを帯びた怒声だった。


怒声はあの日の教卓の裏を思い出させた。

痛みと屈辱の日々。生きる事がただただ辛かった日々。関水の声は悪魔の怒声と同じだった。


関水「今すぐ来い!飯食いに行くぞ!」

プー プー プー


俺は恐怖に駆られ、すぐさま車に飛び乗った。

アクセルを踏む度、引き返して逃げるべきではないかと感じていた。それでも"孤独"の方が怖かった。


俺は大学寮へ向かって車を走らせた...


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