出処

しちは五十六

「金が無い」

ずっとそうぼやいていた友人がある日大金を持って家にきた。

「どうしたんだこれ」と聞くと「腎臓を売った」と返すのだ。

「馬鹿なことするんじゃない、すぐに取り返してこい」

本気の心配をよそに彼は「俺のじゃない、お前のだ。これから取り立てにくるぞ」と軽く笑う。

その笑い声の向こうで、玄関の呼び鈴が鳴った。

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出処 しちは五十六 @Shitiha56

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