[短編]コックリさん。

「ねえねえ、コックリさんしない?」

「「コックリさん?」」


 放課後の時間。学生服を着た女子中学生の少女3人が教室の中で集まる。教室の中は彼女達以外誰もおらず、教室は、木造建築で作られていて3人はその中にいた。


「いいね!面白そう!」


 と、リーダー気質で勝ち気な少女Aはその提案に快く賛同する。


「学校の放課後にやるなんて、雰囲気あるじゃん?」


 と、いつも大人で仲裁型の少女Bもそれに興味があるようだった。


「よし!じゃあ、机寄せようよ」


 と、快活で、発起人の、少女Cがそう言うと3人は誰もいない教室の中音を立てながら机を寄せる。二つ机を並んでその真ん中を中心とするよう3つ椅子を並べた。


 少女Cはロッカーから紙と硬貨を持ってきた。そして3人は机を取り囲みこっくりさんを始めた。


「こっくりさん、こっくりさん。どうぞおいでください。もし、おいでになられましたら、「はい」へ、お進みください」


 この台詞は、少女A、B、C。3人で言う。すると、紙の上にある硬貨が、はい。と進んだ。


「きゃー動いた!」

「いやあーっ!」


 3人は騒ぎ盛り上がる。調子に乗った3人は色々質問をし、Aは誰が好きなのか。とか、聞いていた。そして、そろそろ三人が、こっくりさんに飽きた頃だった。少女Aが、もうお開きにしようと言ったので残りの二人はそれに了承した。


「こっくりさん。こっくりさん。有り難うございました。お離れください」


 彼女達はこのような台詞をいった。すると、いいえ。と、硬貨が進む。


「え?」


 3人は顔を見合わせた。


「うそ、何これ」


 こっくりさんに帰って貰おうと、3人は何度も同じことを繰り返すが、何回やっても、鳥居の所に戻ってくれなかった。もう辺りは暗くなり始め、そろそろ帰らなければ学校に叱られる時間帯だ。


「誰か、誰か」

「や、やだっ!!」

「あっ!」


 すると、離してはいけない10円玉の硬貨を、Cが離してしまう。


「Cちゃん、硬貨を離しちゃ駄目だよ!」


 少女Aがきつく言うと、Cがビックリし、飛び退いた。するとその瞬間彼女はガクンっと全身脱力したようになり椅子にだれる。


「C、Cちゃん?」


 少女Bが、恐る恐るCの事を聞く。すると、彼女はケタケタと笑って教室の中を飛び回り始めた。


「いやああああああッ!!!」

「きゃああああああッ!!!」


 少女A、Bは、驚く。あまりにも突然の出来事で彼女達は驚きの声をあげた。


「やだ、何これ、Cちゃん!?Cちゃん!」


 Aは呼び掛けるが、Cはずっと、ピョンピョンと、狂ったように教室の中を暴れる。


「ちょっと、貴方達、何してるの!もう帰る時間よ」


 すると、ドアから女の担任の先生が現れた。


「先生ッ!」

「先生ッ!Cちゃんが!」


 丁度女の先生に、切羽詰まってくる二人の生徒、A、Bに先生は驚く。


「どうしたの?二人とも」


 女の先生が二人の指指す方向を見ると、少女Cが唸っていたり、ピョンピョンと跳ねたり動物のような仕草をしていた。


「な、何でこんなこと...」

「それが、コックリさんをやって、」

「コックリさん?コックリさん、って、降霊術とかそのような奴?」

「は、はい」


 少女二人はそれに恐る恐る返事をした。女の先生はそれに察する。そして、彼女達にこう言った。


「...Cさんを、お寺に連れていって、祓いましょう」



×××


 少女A、B、Cは、女の先生と共にお寺に行った。少女Cはずっと女の先生に抱き抱えられて、唸っていた。お寺につくとお爺さんのお坊さんが出てきてCを見て、では此方へと言った。


 お坊さんに案内されて貴女達は此方に来ないで。と女の先生が言う。


「でも、Cちゃんが心配で」

「ヴっ!!ウウっ!!」


 唸る少女Cに、少女A、Bは後退りした。


「大丈夫。私に任せて」


 女の先生は、Cちゃんを抱えながら、お寺のお坊さんについていった。


×××


 女の先生が、部屋に案内された後、お坊さんは、少女Cに向かい、何やら呪文を唱える。すると、Cが再び暴れだすが、ふっと力が抜けてそのまま彼女は床に倒れこんだ。


「何かが憑いていたようですな」


 お坊さんは女の先生に向かってそう言った。


「一体何が憑いていたのでしょうか?」

「低級霊ですね。貴女もお祓いをしておきましょう。そして、あの二人も」

「はい」


 女の先生がお祓いを済ますと、寺の所で待っていた少女A、Bは心配そうにしていた。


「もう、Cちゃんを呪ってたものは居なくなったわ。Cちゃんは部屋で休ませて貰ってる」

「ごめんなさい、ごめんなさい」

「いいえ、次は貴女達よ。お祓いして貰いなさい」

「はい」


 その晩はお寺に止まった。そして、朝になると、少女Cが目を覚ましAとBは喜んだ。


 朝になって、女の先生とABCは、お世話になったお寺の人達にお礼をし、後々にお土産を持ってくる約束もした。勿論三人は怒られ、次からは絶対しないようにキツく言われた。


 そうして、三人は、お寺からでた。すると、晴れている筈なのに小降りの雨がポツポツと降りだした。傘は必要にないぐらいの雨だった。



「お天気雨だ」



 少女Cが、そう言った。




ーーー




登場人物




◎少女A



 勝ち気。



◎少女B



 仲裁形のお姉さん。



◎少女C 



 ヤンチャ。



◎女の先生



真面目



◎お寺のお坊さん



お坊さん。


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