第15話:最終目的④


――午後からは、武器術訓練が行われる。


武器格闘術の教官は、その半数近くが ”忍者族” の一員と言われている。




――忍者族。


複数の忍術流派・数万人とも言われる忍者たちで構成される。


血縁者・配偶者以外は関与を許されない秘密主義。


その活動は、情報収集・破壊工作・暗殺・偵察・治安維持……など多岐にわたる。


殆どの忍者は、表には出てこない。


(忍者であることを隠して表に出てくる者は、とうぜん いるだろう)


そして、前線に出る忍者は 極一部だ。




徹底した秘密主義の一族だが、忍者族が受け継いできた多種多様で膨大な技術の内の一つ 武器術は、知識としては既に世に知られている。


その実戦性・多様性から隊員の必須教練となっており、忍者 または忍者と噂される者が指導することが多い。


まあ、忍者族からしたら 受け継いできた技術全体の極一部にすぎないが。


(ちなみにオウカは、メイン武器として ”日ノ国刀” を好む。


”日ノ国剣術” を必須教練として受けたうえで、選択教練としても受けている)




――本日 最後の教練、武器術訓練が終了。


速やかに帰宅する者もいるし、そのまま ここに残って自主練する者たちもいる。


徒手格闘術を訓練する者たちも見受けられる。


そんな中、黄色い声が響く。


「棒手裏剣っていいよね~。手甲に挿しとけば ある程度の斬撃は腕で防げるし、ラメ入れたらカワイイ!」


……などと、女子の会話が聞こえてくる。


(とうぜん訓練時は光を反射しないマット仕様品が使用されるが、自主練用にラメ加工した自前の品は黙認はされている。)


まあ、鉛筆みたいな形状の棒手裏剣は かさばらず持ち運びやすいし、サブ武器として人気がある。


次いで、折り畳み十字手裏剣も人気がある。


(バネ板内蔵、棒手裏剣に近いコンパクトさで、使用時にはワンタッチでお馴染みの形状に広がる。


戦国時代には発明されてたらしい。すごいな。)




……そんな光景を横目に、本日の清掃当番であるオウカは黙々と清掃を続ける。


「オウカ……ちゃんって、エレナと仲良いね!二人は、いつから友達なの?」


”侍族” から剣術を教わっている同年代の少女・カンナにそんなことを聞かれた。


「ああ、候補生の時からだよ。」


色々と考え事をしたいが、話しかけられたらコミュニケーションは取らねば。


……ああ、正直めんどくさい。



  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る