夢叶え少女は幸せになりたい!〜私に必要なものは花冠でした〜

紅団扇

プロローグ

 ──どうして今、私にお母さんやお父さんがいないの?


 ──なんで私はこんな路地裏に居るんだろう?


 ──どうして私の事をって言うの?


 ──なんでお父さんは私が六歳の誕生日の日に私を家から追い出したの?


 分からない。分からないけど、今私の持ってるものはこの才能スキルと追い出される時に侍女から貰った金貨五枚だけ……


【Dream come true】


 このよく分からない記号しかない才能スキルで私はこの先どうやって生きればいいんだろう……?


 ──どうしたら私は幸せになれるんだろう……?

 

 ──どうしたら私は満たされるの……?

 

 ──どうしたら私は本当のお母さんに出会えるの……?


 色々と自問自答していると大通りを歩いている人の話し声が聞こえてきた。


「あーあ!さっさと魔王とか魔獣とか全部居なくなってくれないかなぁ!」


「そのためにこの国は勇者を召喚したんだろ?」


「そうなんだけどよ!あの時はやっとこんな生活から解放されると思って喜んださ!でも、これっぽっちも変わってないし、むしろ前より酷くなってないか?」


「まぁまぁ勇者様が召喚されてからまだ三ヶ月しか経ってないじゃんかよ。きっとこれからだよ。生活が良くなっていくのはさ」


「ハァ……勇者サマねぇ……でも、この国は勇者サマが居ても居なくても関係なく辛いけどな」


「確かに……強制的に魔獣討伐に行かされるし、貰える金は少ないし、国に納めないといけない金は多いしで大変だよな……」


「だよな。しかもこの前は勇者召喚するのに、膨大な金額が必要だからって銀貨一枚を納めろって……もう、うんざりだよな」


「まぁ、膨大な金額を使った分きっと、ものすごく強い勇者様が召喚された筈だよな」


「きっとそうだよな!あーあ!俺も勇者サマみたいなとんでもない強さとか別世界の記憶とか欲しいな」


「勇者様に嫉妬しても何も変わらないぞ」


「まぁ、そうなんだけどな。でも、もし俺にそんな力があったらなーって想像しないか?」


「それはまぁ……するけどさ……」

 

 と酔っているのか大声で話していた。


「異世界の記憶……とんでもない強さとかがあれば私は家を追い出されずに済んだのかな?よし!決めた!私、強くなる!そして、私は絶対幸せになる!」


 と、呟くと私の視界が真っ白に光り輝き、何処からか『承知しました。それでは貴女様の夢、叶えましょう』と聞こえてきた。


「だ、誰!?なんで私の頭の中に直接聞こえてくるの!?」


『それは私が貴女様の才能スキルによるものだからですよ』


「え!?私の才能スキル!?私の才能スキルってあのよく分からない記号しかないもの!?」


『はい。その通りです。その「よく分からない記号」というのは異世界の言語で【夢が叶う】という素敵な意味です』


「夢が叶う……もしかしたらこの才能スキルなら私幸せになれるかも!待っててね!私の幸せな未来!!」

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