罪人の慙死について
李夢檸檬
独白
具体的にどのような人物だったかを忘れてしまったため、一旦は「誰か」とするが、誰かから聞いた話によると、ここがあの罪に問われし例の人間の死に場所らしいそうな。罪を犯した日の翌日となって、その事を知らぬはずの少しばかり偉い教徒に罪を問われ、ここから百歩足らず歩いたあの広間から駆け、本来あったであろう扉を通ると、運悪く、刃物を持った異端者に刺殺された、と。評伝によればその通りらしく、罪と云うのは
かの罪人は、評伝の中では最初の内こそ「とある教徒」と記されている。つまりは、一介の信者に過ぎなかったのだ。しかし、罪を犯せばそれが一変、「悪しき罪人」と言われる始末。この地で昔に信仰されていた宗教では、多くの宗教にて罪悪とされるが、
評伝には、罪人についてそれ程書かれていない。書かれている情報と言えば、「教徒」、「信者の中でも素晴らしいと云う言葉から遠かった」、「昔には罪を犯していたと云う噂が出回っている」、「
かの罪人、名前すらも記されておらぬちっぽけな存在は、如何にしてあのような行為に至り、運悪く死へと誘われたのか。私にそれを知る術は無く、かの評伝から
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