短歌という形式で歌われる、やや色の濃い退廃と、記憶のどこかで思い当たるような不意打ちの懐かしさ…のような感覚を覚えました。
初めての情景なのに、思い浮かべる際の映像を不思議と知っているような気がするのです。不思議と言う他ありません。
初めてその地の土を踏むはずなのに、夢か何かで見たような感覚と似ています。
不思議だ、不思議だと思いながら夢中で読了しました。どなたかの人生を覗き見たようなひと時でした。
ぜひ、私も心に残った一首を挙げさせてください。口ずさんでお守りにしたくなる言葉です。
《御伽噺(フェアリー・テイル) 祈りひとつも叶わない
世界の果てまで居場所がないなら》