放浪編 【2】

 双葉は船首に立ち、両腕を広げて全身に潮風を受けながら目を閉じて考えている。


 (堺に着いたら、まずは仕事を探さねば。商いの盛んな町だと聞いているし、まあ何とかなるだろう。)


 今日で10日間の船旅も終わりとなる。

誰よりも早く起きて毎朝の鍛錬を済ませた後は、甲板掃除から雑用までできる仕事は全力でこなした。


 今はまだ夜明け前。あと半刻(約1時間)ぐらいで港に着く。

積荷を運び終えたら契約終了となる。


 晴れて自由の身だ。

あらかじめ荷分けの段取りを聞いておいたので、それほど時間もかからないはず。


 夜明けとともに船が着いた。

猫のように軽やかに飛び降りて、綱を受け取り船をつなぎとめてから橋げたを渡し、大八車を近くまで運んでおく。


 船倉に走って積荷を次々と運び出す。

すべての積み荷を大八車に乗せ終えて、船主の善吉に挨拶に行った。


「ご苦労さん、助かったよ。ここしばらくの働きぶりが気に入ったのでこれやるよ。紹介状だ。座でみせるといい。」


「かたじけない、感謝いたす。」深々とお辞儀をしてその場を去った。


  町の中を歩いていくと、あちこちで人々が忙しそうに働いている。

(この町はいいな。活気に満ち溢れている。)


 ほどなく座の看板を見つけた。

中に入ると主らしき親父が「あんた、新顔だね。なにか妖怪?」と。


(駄洒落かな、寒い)

「仕事を探しているのだが、使ってもらえまいか?」


「ふつうは一見さんに仕事など頼んだりはしないのだが、この町は特別だ。

 人手が足りないからな。信用できるようになるまでは小口で後払いになるが、それでいいかい?」


「無論、それで結構。そういえば、これを忘れてました。」

懐から紹介状を取り出して渡すと、「どれどれ、ふむふむ・・・あんた、こうゆうのは先にださないと。

あの善吉さんの推薦なら安心だよ。ようがす、とっておきの仕事を紹介するよ。」


「ありがたい、是非頼みます。」

善吉船長の信用度は絶大のようだ。


「美濃の山奥に隠し蔵元がある。そこで特級酒を4壺入手してもらいたい。支度金に500貫、期限は30日。報酬は500貫で。難しい仕事だが受けるかい?」


「もちろん受けまする。」


「少し説明しておくと、この依頼は初めて受けたので、隠し蔵元の所在を探すことも仕事の内になる。その上で任せてよいかな。」


「委細承知、お任せくだされ。」


 支度金と紹介状、座の証明札を受け取って座を出ようとした双葉に座の親父が「まずは井ノ口の町の座に行くといい。」


 助言を受け振り返って、深々と頭を下げ礼をしてから座を後にした。



 《放浪編に入ってからは双葉の単独行動になり筆者は懸念を抱いている。

サービスシーンが出せずPVが伸び悩むのではないかと。


 無理矢理双葉で出してもおそらく認定されない可能性が高い。

早めに対策を講じないと打ち切りの恐れさえある。


 しばしの間我慢しておくんなまし》


 






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