虹のはじまりを探して

うさうさ

第1話

題 虹のはじまりを探して


「ねえ、虹ってどこへ続いてるのかな」


私は恋人と河原を歩いていた。

斜め上の空を見上げると、雨上がりの薄水色の空に虹が輝いている。


そんな虹を眺めていたら、ふとこぼれでた言葉だった。


「虹ねぇ、どうかな。わからないな」


彼氏は興味無さそうな返答をする。


「何その関心なさそうな態度」


私はつまらなくなってそう吐き出す。

彼氏はそんな私にため息をついた。


「何?なんていってほしかったの?」


作り笑いみたいな笑顔を貼り付ける彼氏を横目で見る。

この表情、キライだ。


「虹の国に続いてるのかな、とか、どこだろうね、世界の果てだったら面白いねとか」


「そんなファンタジーな感想、俺に求めるなよ」


彼は、眉をひそめて軽い非難口調で私に言った。


「じゃあ、逆に聞くけど、波花はどこに続いてると思ってるの?」


「え?そーだなぁ。あんなにステキな色なんだから、夢の国で、ユニコーンが沢山飛んでいるとか、むしろバクとかがいたりしてっ!それか、空の海に続いてて、虹色の海の中にオーロラ色のクラゲが漂ってるとかかもー」


「⋯⋯まぁ、そこまで想像力あるなら、ファンタジーな共感を俺に求めても仕方ないか」


彼氏は再び私を見てため息をつく。


「ため息つかないでよ、私の事子供だと思ってるんでしょ?!」


彼氏の反応にムカッとして、胸を軽く叩く。


彼氏は冷静に私の両手を捕まえて言う。


「はいはい。俺は波花みたいな想像力はないんだからさ、求められても困るわけ。別に波花が子供とか思ってる訳じゃないよ。すぐ想像力働かせられるのは凄いと思ってるし」


手をつかまれて、目の前で言われて私はドキッとする。

真剣な彼氏の顔。


「うっ、ほんと?でも、共感して欲しいんだもん」


「それは悪かったよ。共感かぁ。頑張る。⋯でもさ、俺、ファンタジーの国の住人じゃないんだからそこは大目に見てくれよ?」


そう言いながら、彼氏は私の頭をポンポンと撫でる。


⋯⋯これのどこが子供扱いしてない、なのよ?


と思う。


「じゃあさ、まだ時間も早いし、波花が好きなぬいぐるみ沢山のカフェに行こうか?ファンタジーワールドに浸れるようにさっ」


彼氏の言葉に、私の機嫌は瞬間的に回復する。


「ほんとっ?!嬉しいっ、大好きっ!行く行くっ!!」


「じゃあいくか?」


私は彼氏の差し伸べた手を握りしめる。


空には淡く消えていきそうな色の虹。

⋯はじまりは一体どこだったんだろう。


そんなステキな思いを馳せさせてくれた虹。


彼氏と共感できなくても、私はまた虹が出た時考えるだろう。


正解は分からなくても考える時間は楽しいから。

彼氏にはできないって言ってた。

ファンタジーな思考を巡らせられることは、実は私の特権だったのかもしれない。

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虹のはじまりを探して うさうさ @sorausa-rikuuna

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