第6話、派遣(仮)Yさん 蘇民の里

 Yさんは、当時、三重県の話の中で、神様の祠がいっぱいあるところに行ってきたという。

 当時、会社の事務所でその話を聞いていたが、事務所にいたOさんが「蘇民の里でしょ」といい出した。

 私は三重県にいったことがなかったので、よく分からなかったが、やたらと、Oさんが「蘇民の里でしょ、蘇民の里でしょ」と連呼し、「だって、有名だもん」といっていた。

 何が何処で有名なのかはさっぱり分からなかったが、Oさんが時々、話に混じってきた。

 結局、Yさんは蘇民の里で、そこにあった大きな石をいくつか壊してきたという。

 当時、三重県に旅行に行きました…のほのぼの話から、いきなりの話の展開に正直ついていけなくなったが、Yさんによると、

 「蘇民の里で複数の祠を叩いたり、蹴ったり、殴ったり、上から祠を持って下に落としたり、してきた」という。

 さらに「係の大人がいうには『祠』は大切なものだ」と言われたようだったが、Yさんは席を立って、遠くに座った。

 「だいたい、私は祠は大切じゃないし、祠を壊してきてスッキリした」といって、そっぽを向いていた。

 まるで、ストレス解消に口を挟まれた子どものように、係の大人の対応に不満だらけに見えた。

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