夢に触れた少女が、そっと未来へ歩き出す
- ★★★ Excellent!!!
舞台の光に心を揺らされた京が、少しずつ自分の“なりたい姿”へ手を伸ばしていく様子が、とても丁寧に描かれています。
彼女が抱える不安や奥にしまっていた憧れが、ひとつずつ輪郭を持っていく過程が静かな温度で綴られていて、読んでいるこちらまでそっと背中を押されるような気持ちになります。
日常の景色や音、香りの描写がとても豊かで、東都の空気が自然と胸の中に流れ込んでくるようでした。
なかでも、祈結神社での出会いの場面は、どこか幻想的で、京の心が少しだけ軽くなる瞬間が優しく伝わってきます。
そして、 誰かが否定し続けた夢でも、ほんのわずかな光に触れた時、人はもう一度歩きたくなるんだな…と。
人生において大切なのは、こういうきっかけに巡り合うこと、巡り合いにいくことなのかもしれません。
この先、京がどんな舞台へ、どんな縁へ導かれていくのか…
続きも楽しみにしております。