オカルト相談と問題提起

「…はぁ。」


何とも言えない返事をされてしまった。

僕の数少ない頼れる後輩の一人であり、中学時代はよく中二病相談を多くしていた、オカルト好きのピクチャー少女、絵画展 境界線。

そんな彼女に今、りりけに関することをすべて洗いざらい話し、相談をしている。


「…中二病の延長戦的な話ではないとして…まず、なんて人、ホントにいるんですか?私は正直言って、先輩たちの学級については詳しくないので。」


「いないことはない。まず、匂いがあった。」


「なんで匂い嗅いでんですか…」

ため息をつかれ、黒い髪をかくエガテン(絵画展と言うよりエガテンと表記した方が見やすいので、今後は絵画展境界線をエガテンと省略して呼称する)。


「…最初に何かしらの関係を要求する、契約関係にさせるっていうのは、妖怪にはありがちですね。最初に誰かの何者かになることによって、現世での自分を確立するのが妖怪ですから。

「口裂け女」っていますよね?あれだって、最初に印象を持たせることによって、自らの存在を確立させる妖怪の一種です。」


「…なるほど。」


「さらに言うなら、そうやって存在を確立した妖怪には後付けで詳細を付け足されますから。そのりりけさんは、この世界ではもう「白洲先輩のお友達」として、皆さんの脳内に入り込んでいるかもしれないです。」


「…よくわからないけども。つまり、他の奴にりりけは誰かって聞いても、意味ないかもしれんってこと?」


「そうですね、白洲先輩の妄想じゃなければ。」


さらっと嫌なことを言ってくるエガテン。

今までまともな相談をしてきていないからか、信用がミリも塵ほどもない。

「…とにかくですよ白洲先輩。まずはそのりりけさんともっと仲を深めないと。その謎は解けていきません。」


「…あぁ、ありがとうエガテン後輩。今度お前の好きなカレーライスでも奢ってやる。」


そんな守るわけもない約束を交わしてから、僕は一年三組の教室を後にする。

後にして、先にすることを、しなければならないのであろう青春の1ぺージイベントを終わらせる。


問題1

謎のお友達である「りりけ」の正体を解明せよ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る