おおきなわくせい

OVO

第1話 はじめのいし

いしがうまれたとき、まえにはまっくろなはいけいに、ちいさなひかりがぽつぽつとかがやいているくうかんがひろがっていました。

それらのひかりはいしがすすむとかってについてきて、まえにいってもうしろにいってもひっくりかえってもついてきます。

「めいわくだなあ、どうしてずっとついてくるのだろう。」

いしはうんざりとしたようすでつぶやきました。

とはいえついてくるいがいになにかをしてくることはなかったので、いしはかんだいなこころでゆるすことにしました。

いしのまわりにはくろとひかりいがいはなく、はじめはこうきしんおうせいにとびまわっていたいしも、しだいにあきてうごかなくなりました。


そんなあるひ、いしのちかくにおおきなひのたまがあらわれました。

ひのたまはいしにだんだんとちかづいてきます。

いしはきにせずただよっていましたが、ひのたまのまわりにはもうれつなかぜがふきつづけていたため、ふたつがあるていどのちかさになったとき、ふきとばされてしまいました。

いしはとおくとおくのかなたにとばされていきました。

「ひとがのんびりただよっているのをじゃまするなんて、めいわくだなあ。」

いしはあきれましたが、ふとしゅういをみわたすと、いつもみていたひかりたちいがいのひかりにかこまれていることにきづきました。

「なるほど、あまりにもとおくにとばされたから、ひかりはついてこれなかったんだな。あのひのたまにはかんしゃをするひつようがあるね。」

いしはたのしそうにうごきだしましたが、あたらしくいしのまわりをかこむひかりたちもついてきたので、じたんだをふみました。

「ここのひかりもついてくるなんて、とおくにきたいみがないじゃないか。」

しかしふと、いしはきづきます。

「あれ、あっちのほうのあおじろいひかりはみおぼえがあるぞ。」

「そのすぐよこのあかいひかりは、あおじろいひかりのはんたいにあったひかりではないか。」

もういちどまわりをよくみてみると、きまったほうこうにみおぼえのあるひかりがあつまっていて、あたらしいひかりだとおもっていたもののなかにも、みおぼえのあるひかりがよりかがやいていただけのものもありました。

「もしかして、ひかりはついてきていたのではなく、とおくにあるせいでついてきたようにみえていたのかもしれんない。かってにおこってわるいことをしてしまったな。」

いしはひとまずごめんなさいとだけいい、またただよいはじめたのでありました。

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