金で釣られたと思ったら
It's so me
プロローグ
「試験会場こちらでーす」
とある大学の試験当日。俺は遅刻ギリギリで試験会場につくことができた。
「朝っぱらから最悪だよ。しかも試験当日に」
自分のせいだとわかっていてもどうしても本音が漏れてしまう。
どこか焦りを感じ、小走りで会場へ向かう。
着席すると開始まであと1分という文字がモニターに表示された。
周りに友達はいなそうだ。まもなく試験が始まる。
試験開始の文字がモニターに表示されると同時にシャーペンのカリカリという音が会場に響き渡った。
試験が開始された少しあと、違和感を感じた。予習したはずの問題がほとんど解けなくなっていたのだ。あわてふためいた俺はもちろん今から冷静になることもできない。一発勝負の世界はそう甘くなかった。
試験が終わり、もうどうでもいいやという気持ちと合格しなかったらどうしようという気持ちと半々で校門へ向かう。
「あーこれ絶対落ちたな」
また本音を小さく漏らし、コンビニに寄ってから帰宅する。
明日は運が良く、祝日だった。
受験生へ、ゆっくり休んでください。といったメッセージが浮かんでくる。
落ち込む気持ちを何とか抑え込もうとしたが、「受験で後悔だけはするなよー」という担任の声を思い出し、何のやる気もでない俺を崖へ突き落としたようだった。
合格発表当日
案の定、受験には落ちていた。浪人確定なのでバイトを探す。するとある広告が目についた。レストランのバイト?だそうだ。
「新人バイト募集中!時給2000円!」
嘘だろ?と半信半疑になりつつもつい二度見してしまう。お金で人を釣るのはこういうことかと思った。しかし、興味のあるところがここしかなく、いやそんなことあるか?と思い探してみるが、見当たらない。金に釣られそうになる自分とブラックじゃないのかと心配になる自分がいたが考えている間にいつの間にか応募していた。
面接まではまだ時間があるが、担任のあの言葉が嫌でも思い返される。基本面接では自己紹介、長所、短所、ここで何を目標にするのかが言えれば良いと思っているが、試験のこともありなるべく詳しく調べる。初めて念入りに調べたかもしれない。
面接は緊張せず、自分の思うままに発言できた気がする。念入りに調べたおかげなのか。
面接が終わり即採用を得た俺は結果をまだ受け止められていなかった。ここのレストランはかなりの人気があり、即採用をとることは難しいと評判だった。
「採用…しかも即採用だぞ?」
店長の話によれば不思議なオーラを感じたと言う。何故か俺の面接をした人は全員震えていた。緊張でその場面はあまり覚えていないが、明らかに言動がおかしかった。採用されたことは嬉しかったが、何かがおかしい。
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