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異界Ⅰ / 晴れ / 快調
目が覚めると、一つ目の異界に到着したようだった。地面は一面雲になっていて、空はどこまでも青が続いていた。
少し進むと建物が見えてきた。建物も雲なのかと思っていたから、鉄製の円塔に少し驚いた。その塔は見上げても終わりが見えないほど高く、直径も随分と大きかった。入口の前にはトーガのように白の布を全身に巻き付けた門番さんがいて、ここら一帯の住民の住居だと教えてくれた。
中に入ると、壁に沿うように螺旋階段が続いていて、間隔を空けてドアがついていた。どうやら塔の中に塔があり、間に人々の部屋があるらしい。
門番さんに話を聞いていると、ゴーンゴーンと鐘の音が鳴った。驚いてふと上を見上げると、すごくゆっくりと大きなポットのようなものが降りてきていた。そしてまるで呼応するようにドアが開き、住人が現れポットからなにかものを取っていく。最下層の住民が出てきて初めて、それが食べ物であるとわかった。
門番さんは言った。我々は光が強い外に出ることが出来ない。だからこの塔に籠り、一生を過ごすのだ、と。
夜に外に出ないのかと聞くと、夜は来ない。ただ光が降り注ぎ続けるのだ、と答えられた。
門番さんが肌の一切見えない恰好をしていることや、塔の外で人を見かけなかったことに合点がいった。
礼を言って塔を離れようとすれば、またしばらく歩けば別の塔があることを教えてくれた。再度礼を言って、まっすぐ東へ向かった。
しばらく歩けば、門番さんが言っていた通り同じような円塔が見つかった。そこには科学者の人がいて、門番さんたちが着ている光を完全に遮断する布は自身の一族が代々作っていると言った。今はその布の量産化を目指しているらしい。
二つ目の塔からまた東へと向かえば、これまた同じような円塔が待ち構えていた。十数回繰り返しても終わりは見えず、どこの住民に聞いても塔がいくつあるかは自分たちも知らないと言う。
これ以上続けてもキリがないような気がするから、このあたりでこの世界の旅は終わり。
この異界は、光の界と呼ぶことにしよう。
それじゃあ、おやすみなさい。
クルー・ヴォイドの冒険 ~異界旅日記~ flog @flog_z
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