没案1ーABO式アパルトヘイト

さかし

没理由・発想の突飛さで勝負しようとしたが、書き続ける意欲が湧かないテーマかつ言語化すると設定が雑になると感じた為。

「ABO式アパルトヘイト」


西暦2045年現在、日本では血液型差別が横行している。爆発的に増加したSNS人口、簡単に売名できるようになった国民の承認欲求は肥大化し、現実でのコミュニケーションを優先しなくなった。

膨れ上がった理想と現実の自己との乖離に産まれた憎悪、人々はその捌け口を求めた。

最初に流行ったのはルッキズム。顔の造形が醜い者、スタイルの悪い者が差別されたが、これは割と早い段階で消えた。医療の発達により美容整形に脂肪吸引、骨延長手術に至るまでがより安価で安全に、簡単に受けられるようになった。またAIカメラ機能、生成AIの進化も影響し、写真・動画の加工技術も飛躍的に上がった。街に出てもスマホを開いても、男女問わず見目麗しい顔立ちの軍勢が大挙する。結果容姿そのものの重要度が下がり、差別の対象として物足りなくなった。

次に流行ったのがレイシズム。最も古典的な差別で最も変えようのない要素であるため、長く続くと思われたが時代は繰り返さなかった。歴史の溝が深い分、それに嫌悪を示す人々も多かったのだ。結局人間が差別をする理由は敵よりも味方が欲しいかららしい。対象以外との断裂を生んでまで続けるほどのメリットが、これにはなかった。

そして現在、差別の畑を荒らし尽くした人々が行き着き、そして定着してしまったのがブラッドタイピズムだ。

差別対象はB型の人々。血液型で性格が決まるという話は有名になり過ぎた。科学的な根拠の見つからないまま、共通認識として浸透しきってしまったのだ。わがまま、KY、感情的、エトセトラエトセトラ。いわれのない先入観が、彼らを殴りつける。

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没案1ーABO式アパルトヘイト さかし @amatsu_shuri

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