第2章影に潜む噂

第1話 新しい依頼


その日の特現室の蛍光灯はやけに静かに唸っていた。地上の喧騒とは無縁の地下三階。古びた配線の音と私が捲る書類の音だけが響いた。


「案件名は黒い窓影……場所は私立夜見坂高校よみざか……生徒たちからの目撃情報多数……ですか」


「えぇ、放課後の校舎で影が見えるという情報が多数……それに学校の怪談としてはありがちなものですが先週から1人、女子生徒が行方不明になっているそうです。」


「それは……偶然とは言いづらいですね室長。」


「えぇ。というわけなので水無瀬さんに調査をお願いします。あなたの能力……残響視で"影"がどこから現れどう動いているのかを確認してきてください。」


室長は笑みを浮かべたあと紅茶を1口啜り私を見つめていた。その視線に自然と背が伸び私は頷いた。


「……分かりました。行ってきます」


「はいお気を付けて……それと"影"は時に人よりも大きな意思を持つことがあります。油断はしないように。」


その言葉の意味に首を傾げるもあっという間に調査へと向かう時間になり私はエレベーターへ乗り込み地上へと向かった。

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ようこそ特殊現象対策室へ 綴音華柏(つづねこはく) @kohaku_1105

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